2019/12/2

その点で自分はラッキーだった、と田崎さん。京都市内の民間企業に就職していた京大時代の同級生と、博士号取得前に入籍。2年後に出産。東京都三鷹市の国立天文台への就職が決まると、夫は勤務先の東京支社に異動を申し出てくれたという。三鷹市在住時代は、都心への大変な通勤を避けるため、夫は勤務先の在宅勤務制度を活用。さらには、オフィスを持たず、全社員がリモートワークするというワークスタイルのベンチャー企業に転職し、田崎さんが岩手県奥州市に移った後も家族皆での生活を継続できている。「夫と今3歳の娘には常に本当に感謝しています」

田崎さんが勤務する国立天文台・水沢VLBI観測所

「なぜだろう」を突き詰める

社会人になっても科学分野に興味を持ち続けるためにはどうすればいいか、と質問すると、こう答えてくれた。

「普段から『なぜだろう』という問いかけを大事にし、不思議に思ったことがあればとことん考えてみるということでしょうか。私は今、4歳の娘に『どうして?』と聞かれるたびに『どうしてだと思う?』と聞き返すようにしています。

そういえば、今朝はこんなことがありました。わが家の窓の、いつも同じ場所にガガンボが止まるのですが、それを見た娘が『どうしてガガンボはいつも同じ場所に止まるの?』と聞いてきました。私が『どうしてだと思う?』と聞き返したところ、『うーん、好きな匂いがするのかな』と娘は答えました。これって、彼女なりの『仮説』ですよね。自由研究のテーマにしてもいいぐらい、いい着眼点だと思います。大人になっても、この『自分なりの自由研究のテーマ』を考えることを楽しんでみればいいと思います」

田崎さんは続ける。

「そして、一つのことを突き詰めて考えること。もし途中で飽きてしまったら、私がX線から電波に転向したように、使うツールや、見る角度を少し変えるのもオススメです。考える中身ががらりと変わってまた違う面白さが見えてきます」

最後に、学校での理科の授業はやはり好きだったかと尋ねると、また田崎さんの目が輝き始めた。

「小学校5~6年生のときの担任の先生が理科が大好きな女性でした。血液について学ぶ授業では、わざわざ病院で採ってもらった自分の血液を教室に持参し、試験管に入れて『ほら、酸素を入れると鮮やかな赤に、二酸化炭素を入れると暗い赤になるでしょう?』って。

あと、メダカを取ってきて、教室で飼って卵をふ化させたことも。スーパーでアジを買ってきて解剖したり。そんなふうに、理科の楽しみ方を教えてくれた大人がそばにいたのは大きかったと思います」

「見たい、知りたい、考えたい」という純粋な好奇心を原動力に、ブラックホールの撮影という偉業を支えた田崎さん。次はいったい何に夢中になるのだろう。

田崎文得
研究者。水沢VLBI観測所特任研究員。千葉県生まれ。 京都大学大学院理学研究科で学位(博士)を取得。学生時代はX線衛星を使って、活動銀河核を研究。現在は、水沢VLBI観測所の特任研究員となり、国際プロジェクト 「イベント・ホライズン・テレスコープ」の一員としてデータ解析や広報業務の取りまとめを行っている。一児の母。

(取材・文 小田舞子=日経doors編集部、写真 柳原洋子)

[日経doors 2019年7月4日付の掲載記事を基に再構成]

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