二輪レーサーを演じた主演映画「汚れた英雄」(1982年)をはじめ、若い頃の話題作では常に二枚目路線。ただ俳優としての欲が出てくるにつれて「二枚目俳優の代名詞みたいなとらえられ方が嫌になった」。違うところも見てほしい。イメージを裏切りたい。そんな気持ちが人一倍あった。
そして「ガツンというほど圧倒的な」転機が訪れた。16年に三谷さん脚本のNHK大河ドラマ「真田丸」に出演。草刈さん演じる戦国武将、真田昌幸役はユーモアあふれるおちゃめなキャラとして注目を集め、草刈さんは突如バラエティーでも引っ張りだことなる。「三谷さんは僕の内面を見抜いていた。恩人です」
コンプレックスに悩まされていた20~30代
仕事ではいつも、人との出会いによって進むべき道が示されてきた。17歳で上京し、モデルの仕事から役者の道へ。どんなに売れても20~30代はコンプレックスに悩まされていた。「芝居の勉強をしたことがなくてバックグラウンドもない。ぽっと出のモデルですからね」。やがて30代半ばから仕事が急減した。そのとき共演した女優から「あなた舞台をやりなさいよ」と言われ、おそるおそる飛び込んでみた。
「3時間ノーカット、膨大なセリフ。さすがに怖いと思っていたのですが、演じてみると人前でパフォーマンスすることが好きなのだと気付きましたね。今までにはなかった自信がつきました」。活動の場を舞台へと広げ、淡々と努力を重ねたことが再ブレークへとつながった。
「僕の年でもう、これがやりたい、あれがやりたいというのはあまりなくて。三谷さんのように、僕を面白く料理してくれる人と、仕事ができたらなと思います」
1952年生まれ、福岡県出身。 1970年にモデルとしてデビュー。その後も舞台やドラマ、映画で名演をこなし、映画 『 記憶にございません! 』 では政界を牛耳る官房長官役を好演するなど、幅広く活躍。
(Men's Fashion編集長 松本和佳)

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