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ハーバードが学ぶ日本企業

2019/11/13

ハーバードが学ぶ日本企業

日本政府は「クールジャパン戦略」を実施しているとのことですが、問題は、「日本は本当に世界から『クール』と思われているのか」という点です。つまり、政府のメッセージと、それを受け取る外国の人々との間にギャップが生じているのではないかと。

もちろん日本の文化を輸出しようとすると、文化の違いも障壁となります。たとえば、ジョーク。日本のお笑いが必ずしも外国の人にとって面白いとは限らない。日本人がトレンディーだと思う文化も、外国人にとってはトレンディーでないかもしれません。

「アーティストのような気分」で選ばれるブランド

佐藤智恵(さとう・ちえ) 1992年東京大学教養学部卒業。2001年コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。NHK、ボストンコンサルティンググループなどを経て、12年、作家・コンサルタントとして独立。「ハーバードでいちばん人気の国・日本」など著書多数。日本ユニシス社外取締役。

佐藤 日本政府だけではなく、日本企業もグローバル化を推進していますが、どのような障壁を乗り越えなければならないでしょうか。

オフェク 「カナダグース」というダウンジャケットのブランドをご存じですか。1950年代後半にカナダで設立された老舗ファッションブランドです。もともと、超寒冷地で着るジャケットを専門に売っていて、保温性に優れていることで人気を集めていました。

カナダグースは2010年代から急速にグローバル化を進め、現在は世界各国に拡大しています。「温かい」という機能だけではなく、「カナダグースを着ている人はファッションに敏感な格好いい人」というイメージを若者の間に浸透させることに成功したからです。

同じことが「ビーツ・バイ・ドクタードレ(Beats by Dr. Dre)」のヘッドホンについてもいえます。アメリカでは「技術や性能だけに注目すれば『ボーズ(Bose)』のほうがいいかもしれないが、『ビーツ・バイ・ドクタードレ』のほうがかっこいいから買う」という若者が増えてきています。ビーツは若者が好きなブランドとコラボをしてカラフルでオリジナルデザインのヘッドホンをつくっていますし、セレブやアスリートをつかったマーケティングを効果的に行っています。彼らがビーツを選ぶのは、「アーティストのような気分になれるから」なのです。

日本の製品をさらに世界に売り出したいなら、「世界の人たちがそれを使うことによって、どういう気持ちになりたいのか」を理解することが何よりも先決です。先に欲求を確認し、その欲求に応えるような機能、デザインを開発していくのです。特に若者が多い市場においては、セレブリティーやインフルエンサーの効果は絶大で、どの企業も彼らを使った宣伝戦略を行っています。

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