「米国を諦めない」 ハーバードが追う亀田製菓の気概ハーバードビジネススクール教授 エリー・オフェク氏(中)

大きく知名度を伸ばすきっかけとなったのは、ビーガン(菜食主義者)の人たちからの支持です。セレブやインフルエンサーの中には、ビーガンの人が結構います。その人たちがフムスを「お気に入りの食品」として紹介し、急速に口コミで広がっていったのです。

佐藤智恵(さとう・ちえ) 1992年東京大学教養学部卒業。2001年コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。NHK、ボストンコンサルティンググループなどを経て、12年、作家・コンサルタントとして独立。「ハーバードでいちばん人気の国・日本」など著書多数。日本ユニシス社外取締役。

佐藤 すしが世界中で人気を集めるまで、かなりの時間がかかっています。他の製品にくらべると、食品は他国の人々に受けいれられるのに時間がかかるということでしょうか。

オフェク それは事実です。人間は子どものころに食べたもので、食の好みがほぼ決まってしまいます。味覚、食習慣は簡単には変えられないものです。

先ほど紹介したフムスもアメリカに根付くのに10~15年かかっています。すしは20~30年、ラーメンも同じぐらいかかっているのではないでしょうか。

すしがアメリカで広まったのは、高級日本食レストランで食べた人が話題にしたからです。高級日本食レストランには、セレブやインフルエンサーなど発信力のある新しもの好きの人たちが集まります。「すしという新しい食べ物を試してみる」という体験が話題を呼び、口コミで広がっていったのです。すしは現在、スーパーマーケットの総菜コーナーの定番となっていますが、「総菜の1つ」としてアメリカに紹介されていたら、これほどの人気にはならなかったと思います。

レストランからスーパーへという流れ

枝豆についても同じことがいえます。枝豆は日本食レストランの定番アペタイザーとして知られるようになりました。今は、スーパーマーケットの冷凍食品コーナーで買うことができます。これも同じようにレストランから小売りスーパーへという流れです。

亀田製菓について教える授業では「柿の種を日本食レストランでおつまみとして出したらいいのではないか」という受講生もいました。たとえば、フランス料理店でパンがついてくるのと同じような感覚で、和食店では「柿の種がついてくる」。「居酒屋で生ビールを頼むと必ず柿の種がついてくる」というのでもいいのではないか、と。

佐藤 亀田製菓にとって、米のお菓子をアメリカで売り出すというのはどのような意味があると思いますか。亀田製菓の技術があれば、米のお菓子にこだわらなくとも、アメリカ人になじみのあるナッツ菓子なども製造・販売できたと思います。

オフェク コメは、亀田製菓を形作るDNAといってもいいと思います。亀田製菓のすべてのビジネス、すべての製品の根幹にコメがあります。亀田製菓の役員も社員も、「我々は米の専門家である」と自負していますし、創業以来、ヘルシーで安全な商品を提供しつづけてきたことを誇りに思っております。

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