77億人超の炭素を保持 地下深くに巨大な生態系発見

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/11/18

3. 地球外生命が存在する可能性

DCO(深部炭素観測)が期待を高めてくれたものは他にもある。地球以外の惑星に生命が存在する可能性についてだ。

純粋なダイヤモンドは炭素のみからできているが、ほとんどのダイヤモンドには不純物が含まれている。こうしたダイヤモンドは宝石としての質は劣るが、研究にとっては非常に貴重。地球深部に暮らす生物のエネルギー源となるメタンが含まれているからだ。

高圧下で水がカンラン石というありふれた鉱物と出会うと、カンラン石は蛇紋石という鉱物に変化し、同時にメタンを生成する。地球深部の高温・高圧下で、微生物が岩石由来の化学エネルギー(メタン)を利用して生きることができるなら、地球以外の惑星でもそうした生命の可能性が高まるだろう。

この発見から、最初の生命は一般に信じられているように海で生まれたのではなく、地球深部で生まれて進化したのかもしれないとする仮説も登場している。

「DCOはこの仮説に重要な証拠をもたらしました」と米アルフレッド・P・スローン財団の科学顧問を務める米ロックフェラー大学のジェシー・オーズベル氏は言う。

ダイヤモンドは、DCOの研究者に別の証拠も与えた。地球深部には全海洋よりも多くの水があることがわかったのだ。ただし、その水のほとんどは液体ではなく、鉱物の結晶中に存在している。炭素の場合と同様、巨大なプレートの沈み込みによって、地球深部に水が引き込まれたものと考えられている。

4. 地球が鳴らす警報

火山ガスを監視するDCOプロジェクトでは、コスタリカの火山噴火の前に、火山ガス成分が変化することを初めて検出した。ガスに含まれる二酸化硫黄と二酸化炭素の比率が変化していたことで、早期警報システムの実現可能性が示された。

「噴火の前にガスの成分が変化するというのは理論でしかありませんでしたが、DCOは実際に現地で検証させてくれたのです」と英セントアンドリューズ大学のサーミ・ミハイル氏は言う。「火山ガスの成分の変化は、何かの来訪を告げるドアベルのようなものかもしれません」

現在、エクアドルのトゥングラワ火山、イタリアのエトナ山など、人々の居住地に近い複数の火山が監視されている。こうした火山観測はまた、火山から排出される二酸化炭素の量が、化石燃料の燃焼による排出量に比べて非常に少ないという決定的な証拠も示している。気候変動は人為的なものでないと考える人の中には、大気中のCO2濃度上昇は火山のせいと主張する人がいたが、これが否定されたことになる。

DCOの今後

DCOのプロジェクト期間は終了したが、深部炭素を研究する世界の科学者コミュニティーは、NASA、全米科学財団、ドイツ研究振興協会、カナダ先端研究機構などの支援を受けて、これまでの研究を続けるとともに、新しい研究を開始する予定だ。

新たな本部はフランスのパリ地球物理研究所に置かれる。

(文 Stephen Leahy、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年10月29日付]

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