がん・介護・認知症 親のもしもの出費にはこう備える

日経ウーマン

2019/11/13
親のもしもの出費にはどう備えたらいいのか(イラストはイメージ=PIXTA)
親のもしもの出費にはどう備えたらいいのか(イラストはイメージ=PIXTA)
日経ウーマン

親に関するお金の悩み1位は「医療や介護の負担が怖い」。がん・介護・認知症は、高齢の親の「3大リスク」。出費の目安や、負担に備えるにはどうすればいいのかを、プロに聞きました。

「親の出費は親のお金で」子供は「情報」で貢献しよう

親の介護や医療の費用について専門家が口をそろえるのは「親の出費は親のお金で」。親世代の多くは持ち家があり、私たちの世代より年金も充実。貯金が十分でなくても「60代以降はセーフティーネットの選択肢が多い」(ファイナンシャルプランナーの黒田ちはるさん)。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんも「費用負担よりも、情報の取り方や、やりくりの仕方を教え、仕組みづくりに協力するのが子の役目」と助言する。

そのためには「元気なうちに親の懐事情や、もしものときにどう暮らしたいかを聞いておく必要がある」(介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さん)。できれば、キャッシュカードの保管場所や暗証番号まで教えてもらうと安心だ。

【1 がん】「医療費」はおおむね100万円。しかし「収入減」には要注意

「がんの医療費は100万円が目安。告知から1年間が一番かかる」(黒田尚子さん)。手術や抗がん剤治療、放射線治療などが集中的に行われるからだ。とはいえ高額療養費や医療費控除の還付金もあり、実質負担は恐れるほどではない。

むしろ怖いのは現役世代が、休職で収入が下がること。まずは治療期間中の資金計画表を作ろう。負担がきつければ「住宅ローンや生命保険の見直し、生活費の調整を」(黒田ちはるさん)。裏技的な資金捻出法をいくつか紹介!

【備え】貯金不足でもなんとかなる!資金繰り改善に使えるワザ

1 リバースモーゲージ型住宅ローン

治療費負担で住宅ローンの返済が困難な場合、利息だけ返済すればいいローンに借り換えられる商品(住宅金融支援機構の「リ・バース60」など)。不動産評価額の50~60%まで利用可能。契約者の死後、自宅を売却して返済。

2 セール&リースバック

自宅をいったん不動産リース会社に売却し、家賃を払って引き続き住み続けるという方法。売却資金で住宅ローンを一括返済しても手元にお金が残れば、それで家賃を賄える。引っ越さずに資金を捻出し得る方法。

3 払済保険や延長保険

終身保険は解約すると返戻金が払った保険料の総額を下回る可能性も。保険料の支払いをやめ、保険期間を変えず保険金額を減らす(払済保険)、保険金額を変えず保障期間を短縮する(延長保険)手も。

4 年金の繰り上げ受給

60代前半の親が罹患(りかん)した場合、老齢年金の繰り上げ受給も選択肢。受給を1カ月早めるごとに0.5%ずつ減額され、その額が一生続くため、資金面で緊急性がある場合向けの方法。最短で請求の翌月から受け取れる。

5 障害年金

65歳未満で生活や仕事に支障があるなら障害年金が申請できる。2級の認定で年78万100円(障害基礎年金のみ)が支給される。ただ申請は難しいので社会保険労務士などへ相談する方法も。

【備え】治療中の生活設計表を作り、かかるお金の見える化で安心

医師から示された治療スケジュールを基に、月ごとの治療費や生活費、収入などを記入し、年単位でお金の流れを“見える化”する。「休職していても、ここまでお金をキープできるという安心材料になる」(黒田ちはるさん)。

●私が今から備えるなら…「抗がん剤治療が無制限」の新保険

メディケア生命「メディフィットEX」は、9疾病の“薬剤治療”に特化して保障する業界初の保険。がんの場合、健康保険適用の抗がん剤治療に回数無制限で保険金が下りる。「ホルモン治療は5年、10年と長期にわたる。その間保障が続くから、安心できる」(黒田尚子さん)。
【キホン】医療費・介護費の「保険内」自己負担額には上限がある

実は医療費だけなら過剰な心配は不要。健康保険の範囲の医療費や介護保険のサービスは、収入に応じて月ごとの自己負担限度額が決められている。上限は「世帯合算」も可能で、両親など家族が窓口で支払った額の合計が上限以上なら所定の手続きをすれば戻る。さらに、医療費と介護費を合算した年単位の自己負担限度額も。