リストラは45歳に来る 転職の備えは3つの自分改革ミドル世代専門の転職コンサルタント 黒田真行

「新しいものを受け入れられない年齢」と客観的に向き合う

上記のような話は、決してAさんに限った話ではありません。いくつか学びのポイントがありますが、一つめに押さえたいのは「百貨店業界の低迷は、今に始まったことではなかったのに、全く準備をしていなかった」というAさんの反省です。

Aさんは自分が30代のころから、50歳前後になるとラインから外されてしまう先輩や、関連会社や取引先に意に沿わない転籍をしていく先輩、などを数多く見てきました。にもかかわらず、「自分は会社に期待されているから大丈夫だ」という暗黙の過信があったそうです。

それゆえに、「『もし自分がリストラ対象になったらどうするか?』という仮説や、それにどう対応するかということをまったく考えずにいた」。ある日突然、リストラを宣告され、とてつもないショックを受けてしまうという人には、Aさんと似たようなケースが多くみられます。

どれだけ好調な状況が続いていたとしても、仕事も人生も、自分の思い通りに進むかどうかはわからないものです。もしも想定外の事態に陥ったらどうするかを想定しておくといった準備は、やはり誰にとっても不可欠な時代になっているのではないかと思います。

年齢を重ねるほど、人は新しいものを受け入れられなくなってくるという特性を持った生き物です。たとえば、年齢が高くなると、新しい音楽がどれも似たようなものに聞こえる、とか、若い頃に聞いていた音楽を一生聴き続けるという行動パターンは、生物学的にメロディーやリズムの微妙な違いを聞き分ける能力が年齢とともに低下することが一因だそうです。

音楽の嗜好性は20歳ごろにがっちりと固まり、33歳になるころには新たな音楽を聴くことはほぼなくなるために、同じ世代の中では若い時期に聴いた音楽の人気が一生続く傾向があるそうです(ノックス大学心理学教授のフランク・T・マカンドリュー氏による研究)。新しいことへの受容度が下がると、どうしても変化に対応する力が弱まります。これは人間であれば誰であれ起こる現象なので、これを織り込んでおくことがとても重要です。

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