数ある衣装や小物の中から、その場にふさわしいアイテムを選び抜き、コーディネートを考えるのがスタイリストの仕事だ。そんな「目利き」が旬のファッションアイテムに焦点をあて、魅力を紹介する「旬アイテム」。スタイリスト、小林新氏が今回、取り上げるのはブルックス ブラザーズのパジャマだ。ちゃんとパジャマに着替えて寝れば、きっと何かが変わるはずという。
着替えが眠りへのスイッチ
着替えるという行為が眠りへのスイッチになる。そう感じるようになったのは、果たしていつごろからのことだろう。それまではTシャツやジャージーといったルームウエア姿そのままで、寝床に転がり込んでいたものだ。
それが年齢を重ねるにつれて、ふと気づけば、自然とパジャマに目が向くようになった。日常使いのTシャツが疲れてきたので、パジャマ代わりにする――。眠りの質もさることながら、そんな生活からの脱却が、大人の男のありようではないか。実はそんなふうに考え方を改めたこともある。
ブルックス ブラザーズといえば、1818年創業の米国の老舗。リボンでつり下げられた子羊をロゴに、歴代の米国大統領の多くが愛用してきたブランドとしてもよく知られる。僕がこのブランドに出合ったのは確か、中学生のころだったかと記憶している。今では他国で製造するものが増え、「メード・イン・USA」のアイテムはオックスフォードシャツやジャケット類の一部にとどまるが、かつてはすべてが米国製だった。