日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/11/10

写真家のヤスパー・ドゥースト氏は、人間に利用されるニホンザルの姿を撮り「ワイルドライフ・フォトジャーナリスト・フォトストーリー賞」部門で受賞。サルは、昔の日本では大切にされていたが、今では害獣扱いされたり、人前で芸ができるよう訓練されたりしている。「このシリーズを通じて、人々に身近な動物との関係を考え直してほしいと思いました」と、ドゥースト氏は話している。彼のフォトストーリーは、2020年初めのナショナル ジオグラフィック誌に掲載される予定だ。

「ナショナル ジオグラフィック」で活躍する写真家、ヤスパー・ドゥースト氏の写真シリーズが「ワイルドライフ・フォトジャーナリスト・フォトストーリー賞」部門で受賞した(PHOTOGRAPH BY JASPER DOEST, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)

グアナコに飛びかかるピューマの写真で「哺乳類の行動」部門の最優秀賞をバオ・ヨンチン氏と分け合ったのは、インゴ・アーント氏だ。パタゴニアの捕食動物に関する特集ギャラリーの一枚として「ナショナル ジオグラフィック」2018年12月号を飾った。

ピューマがグアナコに飛びかかる場面をとらえたインゴ・アーント氏の写真は「哺乳類の行動」部門の最優秀賞を、バオ・ヨンチン氏と分け合った(PHOTOGRAPH BY INGO ARNDT, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)

徒歩でピューマを追って7カ月目に撮影したこの写真を、アーント氏は「特集の鍵となる写真」だと話している。グアナコはピューマの主な獲物だが、具体的な狩りの様子がわかる写真はそれまで誰も撮っていなかったと、アーント氏は指摘する。写真のグアナコは、襲ってきた雌のピューマの3倍の体重があり、何とか逃げ切った。

ナショナル ジオグラフィックから受賞した4人目は、チャーリー・ハミルトン・ジェームズ氏。夜のニューヨーク市を走り回るネズミの姿を間近でとらえ、「都会の野生動物」部門で賞を受けた。

「都会の野生動物」部門で受賞した、チャーリー・ハミルトン・ジェームズ氏の作品。ニューヨーク市の路上で生きるネズミの生活感ある姿を切り取った(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)

「今では『ネズミ男』と呼ばれています」と、ハミルトン・ジェームズ氏。以前はイエローストーンのカワウソをカメラトラップ(自動撮影装置)で撮り、『カワウソ男』と呼ばれていたという。「今のあだ名の方がずっといいですね」

被写体について「ネズミとして普通の行動を取り、ネズミが生きる場所で生きているだけ」だと話す。ハミルトン・ジェームズ氏は、数カ月にわたってネズミを追い、ニューヨークの下水道や地面の割れ目にカメラを向けた。「街のすき間にネズミたちが賢く順応しているのには、見ていて驚かされました」。同氏はニューヨークでの夜の撮影が大好きだったという。

「ネズミを撮り始めてしばらくすると、尊敬の気持ちがわいてきました」とハミルトン・ジェームズ氏。「彼らのことを『愛している』と言うことは決してないでしょうが、とても好きなのは確かです」

次ページでも、野生生物の写真の「最高峰」と言われるコンテストの受賞作品をお届けしよう。写真家がとらえた動物たちの奇跡の一瞬を堪能してほしい。