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あなたならポン酢はどっち? 黄色かしょうゆ入りの黒

てっちりといえば、もみじおろしとアサツキの小口切りを添えるポン酢が定番=PIXTA

ポン酢の起源をひもといてみるとさらにまぎらわしい。

その発祥は長崎にあると言われている。長崎では、しょうゆとかんきつのしぼり汁をあわせた鍋のつけだれのことを「ぽんず」と呼んでいた。このときにはまだ「酢」が入っていないから「ぽんず」である。

「ぽん」は外来語の「ポンス」が由来。江戸時代、鎖国していた時期に長崎はオランダと中国と貿易をしており、オランダから伝わったかんきつ果汁入りのカクテルのことを「ポンス」と呼んでいた。それがいつしかカクテルに使われるかんきつのことをそう呼ぶようになったようだ。

「ぽんず」はやがて商人たちによって長崎から大阪へと「てっちり(フグ鍋)」や「水炊き」とともに伝えられた。大阪の庶民の間では特にふぐ鍋の人気が高く、西日本ではもともとかんきつ果汁を刺し身にかけるなど魚に合わせる習慣があったため、てっちりと相性の良い「ぽんず」は大衆料理店の調味料として定着したという。

今でもポン酢の売り上げは西高東低の傾向があり、使う機会も量も多い。関西ではスーパーのポン酢売り場面積も大きく、大手メーカーから小さなメーカーまでさまざまな種類のポン酢を取りそろえているという。関西人はそれぞれにお気に入りのポン酢があると聞く。

ミツカンが「ぽん酢」を発売したのは1960年。それまで、ポン酢という名称は料理店での用語であり、一般的にはほぼ知られていなかった。開発のきっかけは、7代目社長が取引先との料亭での宴会で出されたメニューが「博多水炊き」で、このとき口にしたポン酢のおいしさに魅了されたことだという。

こうして家庭でも簡単にポン酢が使えるようにと発売されたのが、かんきつ果汁と酢を合わせた「ミツカンぽん酢」。冒頭のツイッター主が買って帰ったように、現在まで60年近く続くロングセラーである。

しょうゆ入りが発売されるようになったのは64年11月。「ミツカンぽん酢<味つけ>」として関西で試験販売されたのが最初だった。67年秋には、「ミツカン味ぽん酢」に名前を変えて、全国で発売されるようになったという。

ここまで整理すると、

・食品区分としてのポン酢→しょうゆナシ

・マーケットシェアの大きい方→しょうゆ入り

・発祥の地・長崎での元祖「ぽんず」→しょうゆ入り

・ミツカンの商品名としての「ぽん酢」→しょうゆナシ

ということになる。

元祖「ぽんず」にはしょうゆが入っていたことだし、圧倒的シェアを誇り、一般的にも知られている黒い方を「ポン酢」と認定していいのではないかと思う。ただ、今後、買い物を頼むときには商品名を指定するとか、「しょうゆが入った黒い方」とか「しょうゆが入っていない黄色い方」などと、注文をつけるのがよさそうである。

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