食後の「血糖値スパイク」 なぜ注意が必要?

日経Gooday

答えと解説

正解は、(1)ホントです。

糖尿病を診断する指標には血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー;過去1~2カ月の血糖値の平均を反映する数値)があり、通常、健康診断の血液検査では、空腹時血糖値(食後10時間以上経過した状態の血糖値)とHbA1cが測定されます。空腹時血糖値が126mg/dL以上、あるいはHbA1cが6.5%以上だと、「糖尿病の疑いあり」と判定され、再検査を受けることになります(※両方とも基準を上回った場合は、再検査なしに糖尿病と診断される)。

「この2つの数値は糖尿病を診断する上で大切な検査ですが、大きな問題点もあります。それは、食後の血糖値が急激に変動する血糖値スパイクの存在を把握できないことです」。東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授の西村理明さんはそう話します。

血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急激に上昇し、また下がること。「実は、糖尿病の診断基準では、空腹時血糖値だけでなく、食後高血糖も重要視しています。HbA1cや空腹時血糖値が正常でも、食後高血糖が複数回認められれば、それだけで糖尿病と診断されるのです[注1]」(西村さん)。

なぜ、血糖値の急変動は問題になるのでしょうか。「食事のたびに血糖値が急上昇して再び下がるのを繰り返すのは、言い換えると、血液が急激に濃くなったり、薄くなったりを繰り返すということです。濃度の変動の激しい血液が流れると、血管の内側が傷つきやすくなるのです」と西村さんは説明します。

血管の内側が傷つくと、そこに悪玉コレステロールが入り込み、プラークという塊になります。これがつぶれて血管内に流れ出すと心筋梗塞や脳梗塞、もろくなった血管が裂けて出血した場合は脳出血や大動脈瘤破裂を引き起こします。「血糖値スパイクは、このように死をもたらす怖い病態であるのに、空腹時血糖値やHbA1cだけでは見過ごされてしまうのです」(西村さん)。

「ゆびさきセルフ測定室」なら簡単に食後血糖値が測れる!

自分の正確な食後血糖値を知るには、医療機関で「ブドウ糖負荷試験」を受ける必要がありますが、最近一部の薬局などを中心に設置が広がっている「検体測定室」(ゆびさきセルフ測定室)を利用するのもお勧めです。

ゆびさきセルフ測定室は、利用者自身が指先から採ったわずかな血液で、血糖値やHbA1c、中性脂肪などをその場で測ってくれるスペースです。必要な時間は数分~10分程度で、多くの場合、事前予約も必要ありません。食後に測定すれば、食後に自分の血糖値がどれくらい上がっているかを知ることができます。ゆびさきセルフ測定室は2019年9月末現在、全国で1737件が運営されており、設置場所は検体測定室連携協議会のホームページで検索できます( http://navi.yubisaki.org/ )。

「食後高血糖は、太っていない40代くらいの女性にも見られます。空腹時血糖値やHbA1cからは、食後の血糖値がどのくらい跳ね上がるかを把握することはできません。『まさか』と自分を過信しないで、ぜひ一度足を運んでみてください」と西村さんは話しています。

[注1]ブドウ糖入りの水溶液を飲んでから1時間後、2時間後血糖値を調べる「ブドウ糖負荷試験」で、2時間後の血糖値が複数回200mg/dL以上だった場合、糖尿病と診断される。

(日経Gooday編集部)

[日経Gooday2019年10月28日付記事を再構成]

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