主食がコメ(ニンニクとご飯を炒めたフライドライスにすることが多い)のフィリピン。塩やニンニクでマリネした肉をしょうゆ、酢で肉を炒め煮込みにする「アドボ」など、ご飯にぴったりな料理も多い。最近、現地ではそんな料理を現代風に昇華させて出すレストランが登場している。世界的にも高評価のレストランが手ごろな値段で味わえるマニラで、美味巡りの旅をご紹介する。
マニラの経済の中心、高層ビルが立ち並ぶマカティ市の南には、おしゃれなショップやレストランが集まるカルビン・プラザがある。ここの一角にある「トーヨー・イータリー」は、英ウィリアム・リード・ビジネスメディアが主催する「世界のベストレストラン50」のアジア版「アジアのベストレストラン50」で2018年に注目株として選ばれ、19年にはランクインしたレストランだ。

英国の「ザ・ファット・ダック」や香港の「ボーイノベーション」など、名だたるレストランで修業をしたシェフのジョーディ・ナバラ氏が地元マニラで開いた。店名を日本語にすると「しょうゆ食堂」となかなか庶民的で、7品にデザートのテイスティングメニューは2900ペソ(税別、19年10月現在で1ペソ=2.1円。以下同じ)とお財布にも優しい。しかし、次々に出てくる現代風の料理は、甘味や酢を使った酸味、揚げ物の香ばしさなど伝統的なフィリピンのテイストをどこかに置きながらも、スパイスだったり食感だったり、味のコンビネーションの妙に驚かされるものばかりだ。