実験で高速カイゼン進めよ トムケ教授が日本にエールハーバードビジネススクール教授 ステファン・トムケ氏(下)

コンビニエンスストアの深夜営業見直しでも実証実験が行われた
コンビニエンスストアの深夜営業見直しでも実証実験が行われた

世界トップクラスの経営大学院、ハーバードビジネススクール。その教材には、日本企業の事例が数多く登場する。取り上げられた企業も、グローバル企業からベンチャー企業、エンターテインメントビジネスまで幅広い。日本企業のどこが注目されているのか。作家・コンサルタントの佐藤智恵氏によるハーバードビジネススクール教授陣へのインタビューをシリーズで掲載する。イノベーションと実証実験の研究に長年取り組んできたステファン・トムケ教授は日本での動きにも目を向ける。

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佐藤 トムケ教授の新刊「実験は効く:ビジネス実証実験の驚くべき力(EXPERIMENTATION WORKS: The Surprising Power of Business Experiments)」が2020年2月にアメリカで発売されます。日本で今、注目されているのが店舗の運営時間についての実証実験です。

日本のコンビニでも進む実証実験

ハーバードビジネススクール教授 ステファン・トムケ氏

日本のコンビニエンスストアでは、24時間営業を見直す動きが加速しています。セブン-イレブン・ジャパンは、24時間営業の見直しに向けた第一歩となる実証実験を、19年3月21日から順次全国の直営店10店舗で行いました。セブンイレブンは国内に約2万店舗ありますが、その90%がフランチャイズ(FC)チェーン加盟店で、直営店はそのうちの400~500店舗といわれています。直営店10店舗のみを対象として実証実験をして「正しい解」が得られるのでしょうか。(筆者注:後に一部のFC加盟店でも実施)

トムケ 実証実験には、良い実験と悪い実験があります。これは私の印象ですが、2万店舗のうちの10店舗というのは、サンプルサイズが小さすぎると思います。また、調査対象のランダム化という点でも問題がありそうです。実証実験で最も重要なのは、調査対象を無作為に選ぶことです。仮に直営店の結果だけを知りたかったとしても、会社側の事情で「この店舗」と「この店舗」などと調査対象を特定してはいけないのです。このテストで「セブン-イレブン・ジャパンは、今後も24時間営業を続けるべきか否か」を決断するための正しい情報が得られるかどうかは疑問です。

佐藤 小売店の営業時間の実証実験を行った事例はありますか。

トムケ 大手百貨店チェーン、コールズの事例をご紹介しましょうか。13年、コールズは店舗の運営費を削減する方法を検討していました。そこで候補にあがったのが、月曜から土曜までの店舗の開店時間を1時間遅くするという案です。

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