齊藤工と北村一輝 日本ならではのホラーで世界に挑む

日経エンタテインメント!

『ゲーム・オブ・スローンズ』で知られる米ケーブルテレビ局HBOがアジアで展開するHBOアジア製作のオリジナルホラーアンソロジーシリーズ『フォークロア』が、各国で話題を呼んでいる。インドネシア、日本、韓国、マレーシア、シンガポール、タイの6つの国の監督が、それぞれの国の伝承(=フォークロア)をテーマにホラードラマを競作。日本からは、俳優・映画監督として活躍する齊藤工が監督として参加。北村一輝を主演に迎え、畳を題材に日本ならではの恐怖を描いた。

『フォークロア』はBS10スターチャンネルにて独占日本初放送。11月10日14時45分から全6話一挙放送ほか。※齊藤工監督、北村一輝主演の第2話『フォークロア TATAMI』は同日15時45分~。

『フォークロア』の製作総指揮を務めるのはシンガポールの大物製作者エリック・クー。彼が齊藤の長編監督デビュー作『blank13』を見て、日本代表として抜てきが決まった。齊藤が発案した物語のタイトルは『TATAMI』。齊藤監督と主演の北村に、このプロジェクトに参加した意気込みや撮影現場でのエピソード、お互いの関係などを聞いた。

齊藤 エリックからプロジェクトの説明を聞いたとき、漠然とアイデアが浮かんだのが畳でした。畳という言葉は日本にしかなく、“TATAMI”が世界共通語です。加えて、僕自身が、畳の隙間や障子、木目や天井の染みなどに、幼少の頃から何かを感じていて、畳の中や裏の見えない部分をいろいろと想像してしまうのです。そういった思いから、畳にまつわる物語にしたいと考えました。

『フォークロア TATAMI』主演の北村一輝 (c)2018 HBO Pacific Partners, v.o.f. HBO and HBO Asia Originals are service marks of Home Box Office, Inc. FOLKLORE is a service mark of HBO Pacific Partners, v.o.f. Used with permission. (c) 2019 HBO Asia. All rights reserved.

北村 畳という着眼点が齊藤監督らしいですね。ここを見ているのかと、センスを感じました。ホラー映画には様々なパターンがありますよね。例えば、僕はインドネシアで『KILLERS/キラーズ』という作品に出演しましたが、これは人間が人間を殺していくという怖さ。一方、今回は畳に染み付いている人の情や怨念の怖さ。日本のホラーの場合、何かが“出る”のは洋室ではなく和室が多い。なおかつ、今回のように古い日本家屋にある古びた畳は、自然と怖さを連想させてくれる。本作は空気感が怖い。

北村が演じるのはフリーのジャーナリスト。奇怪な事件の取材で廃墟を訪れた後、父の葬儀のため、久しぶりに実家に帰宅。母と再会するなかで、忘れていた自らの過去と向き合わざるを得なくなる……というストーリーだ。

齊藤工(衣装/Kazuki Nagayama/STUDIO FABWORK、スタイリスト/川田力也)

齊藤 実は、撮影した建物は実際に廃墟で、ちょっといわくつきの建物なんです。よくない噂も多くありまして……。だからこそ、そんな空気感は絶対に出さなくてはいけないと必死でした。ロケーションで戦いたい、という思いが僕の中にありましたから。他国の作品と戦っているわけではないのですが、時に残酷でも映像作品は評価をきちんと受けるべきだと思っています。ハリウッド映画の興行成績を見ていると、ホラーは本当に強い。まさに、ブームでしょうね。HBOがアジアのホラーをもう一度フューチャーするという企画の流れも分かります。そう考えたときに、日本で作る強みはなんだろうと、日本独特の空気感を大切にしました。ただ、撮影のスケジュールはかなりタイトで、1日でも失敗したら難しかったという状況。プロフェッショナルが集まってくださったおかげで、どうにかなりました。

北村 確かに日程はタイトでしたが、製作費が決まっているなかでよくやったと思います。その国により撮影にとれる日数はまったく違うわけです。もっと言えば、人件費や機材の金額からして違う。日本だと4日くらいが限界。そういう状況だとピリピリとしそうな気もしますが、齊藤監督はいたって温厚。1つのものをコツコツと作っていくアーティストのようでした。さらに、俳優目線も持っているので、お芝居に関してもディスカッションして、画をチェックしながら進んでいく。スタッフに対しても、時間が限られたなかでも穏やかで的確な進行をしてくれていて演じやすい現場でした。

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