2019/11/2

「中と外のダイヤモンドの間に、どんな鉱物が詰まっていたのか、想像すると興味深いです」とフェルスター氏はEメールで語っている。

こうした鉱物がいつどのように消えたかは不明だが、ダイヤモンドが地表に上ってくる途中でにじみ出た可能性があると、米国宝石学会の王五一氏は話す。すき間を埋めていた鉱物が、溶岩または非常に高温の流体と接触したことで、液体に変えられたのかもしれない。

あるいは、変化が起こったのは地表ではないかとスタヘル氏は考えている。すき間にあった鉱物に水が働きかけて、より弱く、軟らかい鉱物に変え、次いでその一部を溶かしたという可能性だ。

二重ダイヤモンドのX線画像。大きなダイヤ内部の空洞に、小さなダイヤが1つ収まっているのがわかる。ダイヤモンドが形成される地下深くの高圧下では、このようなすき間は存在できないため、かつては何かが空間を埋めていたはずだと研究者たちは考えている(PHOTOGRAPH COURTESY OF ALROSA)

しかし、どちらのプロセスでも、空洞全体がすっかりきれいになるとは考えにくい。おそらく人為的な処理が入っているだろう、とスタヘル氏は強調する。今回の二重ダイヤモンドが採掘後にどう洗浄されたかは不明だが、処理方法は数多くあり、フッ化水素酸などの強い腐食剤による洗浄もその1つだ。

「この物質は、私たちが知っている鉱物ならほとんど何でも溶かしてしまいます」とスタヘル氏は説明する。フッ化水素酸によって溶けない数少ない鉱物の1つがダイヤモンドだ。ダイヤモンドとその処理について、さらなる情報をアルロサ社に求めたが、回答は保留されている。

変わり者のダイヤから何がわかるか

新発見の「ダイヤの中のダイヤ」に一部似ているようなダイヤモンドは、以前にも見つかっている。例えば王氏も、そのようなダイヤを長年所有しているが、中の石は、大きい方のダイヤ内部の壁にしっかりとくっついた状態だ。また、まばゆい表面に穴が開いているダイヤも多いとスタヘル氏は付け加える。

こうした変わり種の鉱物を研究することで、研究者たちはダイヤモンドの成長過程をさらに解明できる。また、こうした石が地球の地下深くで遭遇する環境や化学作用についても発見があるかもしれない。

米国宝石学会が行う分析で指揮をとる予定の王氏が特に関心を抱いているのは、高解像度CTスキャンでダイヤモンドを調べ、構造を3次元で視覚化することだ。内部の空洞の形を調べるほか、中に詰まっていたはずの鉱物が抜けていったルートとして考えられるものを探したいとしている。加えて、ダイヤの化学組成の非破壊検査も計画中だ。これにより、中の空間にかつて残っていたであろう物質の手がかりが得られる可能性がある。

それでも、本当に謎を解くには、さらに多くの発見例が必要だろうとスタヘル氏は話す。「究極の目標は、内部の空間がまだ詰まったままのダイヤモンドを見つけることです。そうすれば、誰もが納得できるでしょう」

(文 MAYA WEI-HAAS、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年10月16日付]