タレント・西園みすずさん 「大丈夫」母の魔法が救い

著名人が両親から学んだことや思い出などを語る「それでも親子」。今回はアイドルでタレントの西園みすずさんだ。
――子供のころからアイドルになりたかったのですか。
「いえ、舞台女優に憧れていました。中学2年の時、大阪でお芝居をみて、心が震えました。私もやりたいと思って、サンミュージックのタレント養成学校に自分で申し込みました」
――ご両親は賛成してくれましたか。
「私がやりたいと言い出したことに、反対したことは一度もありません。特に母はいつも背中を押してくれました。母は体操の選手でした。池谷幸雄さんと同世代で、五輪代表候補になったほどです。子供のころは私も、母が主宰する体操教室に通っていたんですよ」
――どんなお母さんですか。
「女性としてパーフェクトな人です。強く、きれいで格好良く、仕事も家事も子育てもなんでもできる。養成学校時代にオーディションを受けると、母も一緒に戦ってくれていると、よく実感しました。『大丈夫よ。みすずがトップで合格するから』って、いつも抱きしめてくれました」
「大阪の実家で暮らしていた時は、そんな母に『ありがとう』と言えず、思っていることと違うことを口に出すこともありました。東京で離れて暮らすようになって、素直に気持ちを伝えられるようになりました。母は今も半年に1度くらい上京してくれます。別れる時がつらくて……。必ずハグするのですが、あの瞬間の心が温かくなる感じ、いつでも思い出せます」
――アイドルとして滑り出しはどうでしたか。
「グループのメンバーと合宿生活が始まって、なぜか私はリーダーに指名されました。育った環境もバラバラの、10代の女の子10人以上です。ケンカはなかったけれど、人間関係でうまくいかないのは、しょっちゅうでした」
「そのたびリーダーとしてどうすればいいのか悩み、母に電話して声を聞くだけで涙が止まりませんでした。心配かけたくないから、つらいとか苦しいとかは絶対言いませんでしたが、母は分かっていて、『みすずなら大丈夫よ』って。このひと言は、私にとって魔法の言葉でした」
――いいお母さんですね。
「母を見ていて、私もいずれは結婚して、子供を産みたいと思うのですが、母のようになれるかなと考えると、まだまだだなと……」
――お父さんはどんな方ですか。
「父は照れもあるのか、言いたいことは母親経由です。あとはLINEですね。一画面に入りきらないほどの長文です。コンサートには家族みんなで来てくれます。普通は後ろの方でひっそり見ていますよね。父は一番下の小5の弟を肩車して前列で大騒ぎしています。ファンの間で、また"西園ファミリー"が来てるよと話題になるほどです」
[日本経済新聞夕刊2019年10月29日付]
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