Xマスケーキ、高級ホテルのお薦めは? 和素材に注目
クリスマスケーキの予約販売が始まっている。クリスマスの時期といえば、パーティーに忘年会にと、食べ歩く機会が増える時期。クリスマスケーキはこの時期のハイライトとなるスイーツだが、欧米流の濃厚なケーキは、「食べたいけど、ちょっと重い」という人も多いのではないだろうか。そこで、注目したいのが、近年目に付くようになった和素材を使ったクリスマスケーキ。優しい味わいで、甘いものが得意でない人でも楽しみやすい。そこで、特別感のある4つの高級ホテルから、今年オススメのクリスマスケーキを紹介する。
ホテル雅叙園東京 PATISSERIE「栞杏 1928」
「ブッシュ・ド・ノエル・ジャポネ」
同ホテルのパティスリー「PATISSERIE『栞杏(りあん) 1928』」の人気ケーキのクリスマスバージョン。箱のようにかっちりとしたフォルムだが、実はふんわりとした抹茶とホワイトチョコレートのムースに包まれたケーキ。ムースの下には抹茶の「オペラ」が隠れている。「オペラ」とは、コーヒー風味のバタークリームなどを使い、薄い層を幾つも重ねてチョコレートでコーティングしたフランスの定番ケーキ。
このケーキでは、大納言アズキとゴマのペーストを混ぜた層、ゴマのバタークリーム、抹茶生地などの層を重ね、「複雑な一体感を出すように考えた」(ペストリー料理長・生野剛哉さん)と言う。
「KUMIKO・柚子」
美しい組子細工を模したチョコレートで覆われたケーキ。チョコレートムース、ユズのクリーム、オレンジのダクワーズ(外がパリッと、中がふんわりとした生地)、ザッハマッセ(ザッハトルテに使われるチョコレート生地)などの層を重ねている。チョコレートムースにはミルクチョコが使われているが、これは「ユズの香りと相性がいい」(生野さん)ため。
一方、オーブンで焼くダクワーズ生地にはユズを入れても香りがでないので、複数のかんきつ類で試作。その上で、一番香りが残るオレンジを用いたのだという。ケーキの中央には、チョコレートの土台にクルミの芯をあしらった「ロウソク」があり、これに火を灯(とも)すと、組子細工のあんどんのように明かりが漏れるという仕掛けも。
「玉手箱」
ホワイトチョコレートで作った玉手箱に様々なケーキが詰め込まれた豪華なセット。限定10台の特別感あふれる一品だ。上段には、「PATISSERIE『栞杏 1928』」で人気のケーキ3種と、手まり型チョコ、キイチゴのボンボンショコラ、チョコレートブラウニーなどが収められている。下段に入るのは、パティシエたちが指名買いするという三浦半島・嘉山農園のイチゴを使用した格子模様のショートケーキだ。
上段のケーキの1つは「ブッシュ・ド・ノエル・ジャポネ」のベースとなった抹茶とゴマのケーキ「栞杏」。また、生野さんが現職に就く前から25年間作り続けてきた、自身のシグネチャーケーキ「シシリアン」も入る。ピスタチオやアーモンドのババロアなど7層からなるケーキだ。
*予約期間:2019年12月16日まで、引き渡し期間:2019年12月21~25日
パレスホテル東京 スイーツ&デリ
「アルブル ヴェール」
モミの木を模したスタイリッシュなケーキ。モミの木を表している部分は、ユズ風味のチョコレート。その下にかんきつ類の一種であるカラマンシーのクリーム、ミルクチョコ、チョコレートクリーム、キャラメリゼしたピスタチオ(カラメルをからめたピスタチオ)入り生地、ピスタチオのダクワーズ生地を重ねている。複雑な食感のケーキだ。
「ユズだけでなくカラマンシーを使うことで、かんきつ類特有のさわやかさ、苦味に奥行きが出る」とはペストリーシェフの窪田修己さん。また、甘さに対して酸味や苦味、軟らかいクリームに対して歯ごたえのある板チョコなどと、対照的な味わい、食感を考え全体を構成している。「驚きを感じていただくとともに、食べていて飽きのこない組み合わせを意識した」(窪田さん)と言う。限定50個の販売。
「ボーネン シュトーレン」と「加賀ほうじ茶のシュトーレン」
パレスホテル東京では、毎年4種類のシュトーレンをラインアップするが、そのうち2種は定番の和風シュトーレン。1つは「ボーネン シュトーレン」で、同ホテルがリニューアルオープンした2012年に発売して以来、大人気の商品だ。きな粉などの和素材をふんだんに用いたもので想像以上の反響があり、発売後4年間は販売数が毎年2~3倍に増え続けたという。
「ボーネン シュトーレン」は、渋皮のついたクリやユズ風味のマジパン(アーモンドと砂糖をペースト状にしたもの)と共に、黒豆鹿の子、青エンドウマメ、金時豆など数種のマメを使用。最後にたっぷりときな粉を全体にまぶして仕上げている。数種のマメを使うのは、風味を豊かにするためだ。また、砂糖には、甘過ぎず、コクのある味わいを引き出せる和三盆を使用。
「マメやクリの持つ自然な甘みを生かしながら、ユズ風味のマジパンのさわやかさ、きな粉の香ばしさを加えることで、全体の味のバランスをとっている」(ベーカリーシェフの星敏幸さん)という一品だ。リキュールが効いていたりする一般的なシュトーレンより、老若男女問わず楽しめる優しい味わいであるため、手土産としても重宝されているそうだ。
一方、16年に初登場以来定番商品となったのは「加賀ほうじ茶のシュトーレン」。濃厚なほうじ茶のラテを生地に使用。その香りが飛ばないよう、温度をコントロールしながら丁寧に焼き上げる。生地には、ほのかな甘みの大納言アズキやホワイトチョコレート、酸味のあるフランボワーズを合わせ、若草色のうぐいすきな粉で全体を覆っている。ほうじ茶の香ばしさに加え、甘味と酸味のバランスがよいと評判で、こちらも年々販売数が伸びているという。圧倒的に女性人気が高いそうだ。
*予約期間:ケーキ2019年12月22日まで(購入日の3日前まで)/シュトーレン12月25日まで、引き渡し期間:ケーキ2019年12月21~25日/シュトーレン12月1~25日
ザ・キャピトルホテル 東急 ペストリーブティック「ORIGAMI」
「ブッシュ・ド・ノエル」
毎年デザインやディテールを変えながら、モンブランタイプの和テイストのブッシュ・ド・ノエル(ロールケーキを用いた丸太型クリスマスケーキ)を、クリスマスケーキのラインアップに加えている同ホテル。今年は、近年話題の香ばしい風味の「ブロンドチョコレート」などを使った華やかなデザインのケーキが登場した。
ケーキを覆うクリのクリームに用いるのは、愛媛県産の中山栗。「10種類のクリを食べ比べる中、群を抜いた味わいのよさがあった」(シェフパティシエの安里哲也さん)と言う。生地には和三盆とコメ粉を用いるが、クリの味わいが引き立つよう素材を選定。「和三盆を使用することで、味わいがまろやかになる。ミネラル豊富で特有のうまみもあり、焼き上がりもしっとりします」(安里さん)
一方、トップに飾られたマロングラッセと、ロールケーキに巻き込んだクリームに使われているのはフランス産のクリ。今回のケーキには、ホクホクとしたものが多い国産より、歯ごたえがありクリらしい食感が引き立つフランス産の方が合うと考えたからだという。
*予約期間:2019年12月23日まで、引き渡し期間:2019年12月9~25日
ホテル椿山荘東京 ペストリー&チーズショップ
「クリスマスモンブラン」
昨年までクリスマスケーキは、ショートケーキ1種のみだった同ホテル。今年初めて種類を増やした。その1つ「クリスマスモンブラン」は、ヘーゼルナッツクリームの層や宮崎産の渋皮栗がごろりと7粒入った一品。外側を覆うクリのクリームにはフランス産を使用しているが、和栗の柔らかな味わいが広がる一品だ。土台のクッキー生地にもマロンペーストを合わせ、和栗の上には1カ月赤ワインに漬け込んだイチジクを重ねる。15台のみの限定販売。
*予約期間:2019年 11月1日~12月15日、引き渡し期間:2019年12月21~25日
11月1日から予約受け付けの始まるホテル椿山荘東京をのぞき、既に予約は始まっている。限定台数のものもあり、10月16日時点では売り切れ商品はなかったが、確実に入手するためには早めに予約をした方がよさそうだ。
(フリーライター メレンダ千春)
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