脚の血管守って健やか 動脈硬化を防ぐ6つの生活習慣いつまでも歩けるための健足術(6)

日経ヘルス

2019/10/28

動脈硬化を防ぐ食事と運動を

では、次に脚の動脈はどう健康に保つべきか。動脈は、心臓から全身に向かって血液を行き渡らせる役割を担っている。動脈の壁は丈夫で弾力性に富んでいるが、動脈も老化してくると血管の壁が硬くなり弾力性を失ってくる。

「このような状態が『動脈硬化』です。動脈硬化は体中のあらゆる場所で起こる可能性があります。心臓の血管・冠動脈に動脈硬化が起き、血栓が詰まるのが心筋梗塞です。そして脳の血管が動脈硬化になり、動脈が血栓で詰まるのが脳梗塞です」。前回「ふくらはぎを使って歩こう 血液流し脚の血管を健康に」で説明した通り、「脚に起こる動脈硬化は『下肢閉塞性動脈硬化症(かしへいそくせいどうみゃくこうかしょう)』と言います」(長崎さん)。

足の動脈が動脈硬化によって狭窄(きょうさく:血管が細くなる)や閉塞(へいそく:血管が詰まる)を起こすと血液の流れが悪くなり、足先まで栄養や酸素を十分に送ることができなくなってしまう。

脚の冷えやしびれといった症状から始まり、歩行時にふくらはぎが痛くなることもある。これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)という。さらに進行すると、何もしていなくても足が痛む安静時疼痛(とうつう)や、足に潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)を発症することもあるので、注意したい。

これらを予防するのに必要なのは、まずはバランスのとれたカロリーの低い食事だ。

「動脈硬化の予防には野菜中心、野菜優先の食事にすることです。まずカロリーの低い野菜でおなかを満たし、肉類や油もの、ご飯や麺類の摂取を抑えるのです。そうすれば摂取カロリーも自然と減ります」(長崎さん)

また、ウオーキングなどの有酸素運動を週に2回・各20分は行う、脳と体の疲労回復のために良質な睡眠をとる、ストレスをためない――とよい。そして「禁煙です。たばこを1本吸うだけで、血管の収縮は30分以上続きます。血管が収縮すると血圧が上昇します。また活性酸素が大量に発生して血管を攻撃し、動脈硬化を促進してしまうことになるのです」と、禁煙の重要性を訴える。

(イラスト:内山弘隆)

フットケアも日常の習慣にしよう。足は普段から自分でよく見ることだ。動脈硬化だと血流が少なくなっているぶん、足に毛が生えなくなってくるという。毛穴が減り、皮脂を分泌する“脂線”もなくなって足は乾燥傾向になる。

「そしてかかとがカサカサになったり、そこからひび割れたりします。爪も生えづらく、巻き爪になったり爪が厚くなったりすることもあります。またタコなどができると、そこから傷ができやすくなり、潰瘍につながることもありますから、足はこまめに見るようにしましょう。糖尿病などがある人で、足がひどく乾燥してきた場合は要注意です」(長崎さん)。

(写真提供:下北沢病院)

もし脚にしびれや痛みや冷えを感じるときは、医療機関でABI検査を受けるといい。ABI検査は両腕、両足首の血圧を診る簡単な検査だが、足の動脈硬化の指標になる。

「脚の動脈硬化を早めに知ることで、命を奪う心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げることもできます。脚の血管の健康を守ることは、結局は体全体の健康を守ることにつながっているのです」(長崎さん)。

長崎和仁さん
下北沢病院(東京都世田谷区)副院長。慶應義塾大学医学部卒業。国内の病院に勤務後、スタンフォード大学外科フェローとして渡米。帰国後、浜松日本赤十字病院外科部長・創傷ケアセンター勤務、さいたま市立病院血管外科医長を経て現職。日本血管外科学会血管内治療認定医。

(ライター:赤根千鶴子、構成:日経ヘルス 白澤淳子)

[日経ヘルス2019年8月号の記事を再構成]

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