窯元やカフェで器を堪能 散策したい焼き物の里10選

■6位 備前(岡山県備前市)470ポイント
土壁が残る街並み

土そのものの味わいが伝わる器として茶人に好まれ、茶道具としても知られるようになった。「ぬらして使えば料理も映える使いやすい器。工房が並ぶ伊部の通りを歩くのがおすすめ」(後藤加寿子さん)。JR伊部駅の駅舎で備前焼伝統産業会館を見た後、駅前の備前市立備前焼ミュージアム、街道沿いに並ぶギャラリーを巡り、土壁が一部残る街並みを散策するのも楽しい。

山あいに往年の窯跡がある。多くの愛好家でにぎわう備前焼まつりは19、20日。18日は前夜祭でたいまつを手に練り歩く「かべりだいまつ」も。

(1)備前焼ミュージアムはJR伊部駅下車(2)http://bizen-kanko.com/(備前観光協会)

■7位 常滑(愛知県常滑市)410ポイント
土管やレンガ 歴史ある風景

「土管やレンガといった日本の風景をつくりあげてきたといっていい歴史ある焼き物の産地。赤土の器から感じ取れる社会背景も面白い」(神藤秀人さん)。急須の生産でも知られる。常滑市陶磁器会館を起点にした「やきもの散歩道」を歩くと、煙突や窯、焼き損じた土管を再利用した土管坂など独特の雰囲気を味わえる。

若い作家のギャラリーやカフェも点在。足をのばして、「INAXライブミュージアム」で焼き物や世界中のタイルの展示を見たり、「とこなめ陶の森」を散策したりもおすすめ。

(1)陶磁器会館は名鉄常滑駅から徒歩5分(2)https://www.tokoname-kankou.net/(とこなめ観光協会)

■8位 信楽(滋賀県甲賀市)360ポイント
タヌキの置物、だけじゃない

独特の緋(ひ)色やざらざらした手触りが特徴だ。窯元が集まる長野エリアにはギャラリー・カフェや焼き物を求めて訪れた、文人ゆかりの飲食店や宿が残る。「タヌキの置物で有名なやきものですが、個人的には鮮やかな青の器を探すのも楽しみ」(石井華子さん)。ボランティアガイドの案内で散策できるのも魅力。中心部から離れるが、「ミホミュージアム」を推す声もあった。

NHK連続テレビ小説の舞台で注目を集めそう。12~14日の信楽陶器まつり大即売会は台風のため中止。

(1)甲賀市信楽伝統産業会館は信楽高原鉄道信楽駅から徒歩10分(2)http://www.e-shigaraki.org/(信楽町観光協会)

■9位 九谷(石川県加賀・金沢・小松・能美市)330ポイント
作り手の技あふれる

鮮やかな色彩や優美な絵模様が魅力。17世紀半ばに良質な磁器の原料がみつかり、有田の製陶技術を持ち込んだのが始まりだ。幕末に名工、九谷庄三が出て海外にも知れ渡った。工芸品を扱う店やギャラリーは金沢市内に集まるが、工房は加賀・小松・能美各市に多い。

春は九谷茶碗(ちゃわん)まつり、秋は九谷陶芸村まつりでにぎわう。「一口に九谷焼といっても、作り手の特徴が異なるのが魅力。様々な技があふれている」(赤瀬浩成さん)。

(1)九谷陶芸村はJR能美根上駅からバス30分(2)https://www.city.nomi.ishikawa.jp/www/contents/1554432056038/index.html(能美市、九谷陶芸村の紹介)

■10位 萩(山口県萩市)320ポイント
城下町の風情も楽しむ

独特の柔らかな風合いで、使い込むほどに趣のある味わいを醸し出す。秀吉の朝鮮出兵を受けて毛利輝元が命じ、現地の陶工を連れ帰ったのが起源。「幕末の舞台のひとつでもある城下町の風情も楽しめる。山口県立萩美術館の個性的な展示も見どころ」(野田耕一さん)。

武家屋敷の残る街並みが魅力だ。美術館がある城下町周辺のほか、萩焼資料館や萩城跡が残る堀内エリアなど、市内各地に窯元やギャラリーがある。11~14日には萩・田町萩焼まつりが開かれる。

(1)萩美術館・浦上記念館はJR萩駅からバス30分(2)http://www.hagishi.com/(萩市観光協会)

                                       

好みの作家見つけ交流も

食器や花器など、暮らしに溶け込む焼き物。経済産業相が指定する「伝統的工芸品」では陶磁器が32種類あり、産地は西日本を中心に全国に広がっている。器自体の魅力はもちろん、どこか懐かしさを感じる産地の雰囲気に引かれる人も多い。

ランキングには歴史ある産地が並んだが、有田や益子を含め、新たな挑戦を続けているところが目立つ。若手が従来の技法や産地の枠を超えた器づくりに取り組んだり、ジャンルの違う工芸や料理との連携を模索したり。専門家からは「お気に入りの作家を見つけて、訪れて交流する楽しさを味わってほしい」という声が複数寄せられた。産地間で連携する動きもある。常滑、信楽、丹波、備前を含む「日本六古窯」は陶器の産地として歴史や特色が評価され、文化庁が日本遺産に認定。情報発信で協力し合う。

窯元はギャラリーや販売所を持たず、仕事場を公開していない場合や、完全予約制もある。確認して訪ねたい。

イベントの情報は10日正午時点

■ランキングの見方

数字は専門家の評価を集計した点数。焼き物の産地の主な所在地。(1)主な観光・見学スポットと交通手段(2)観光協会などのサイトのURL。写真は4位丹波篠山市、5位壺屋焼物博物館、ほかは情報サイトを運営する観光協会など提供。

■調査の方法

全国の焼き物の産地から専門家の助言をもとに街歩きが楽しめる25カ所を選出。「歩いて回るのが楽しい」「焼き物の歴史を学ぶほか、作品を見られる場や機会が豊富」「器にこだわった食や体験スポットが充実」といった観点から、専門家13人におすすめ順に順位付けを依頼。編集部で集計した。(河野俊)

■今週の専門家

▽赤瀬浩成(メイド・イン・ジャパン・プロジェクト社長)▽ロバート・イエリン(やきものギャラリーオーナー)▽石井華子(クラブツーリズム)▽後藤加寿子(料理研究家)▽坂井基樹(日本陶磁協会事務局長)▽ステファン・シャウエッカー(「ジャパンガイド」編集長)▽神藤秀人(「ディデザイントラベル」編集長)▽高橋俊宏(「ディスカバー・ジャパン」統括編集長)▽永峰美佳(「やきものの里めぐり」著者)▽西島奈留美(サイト「陶器市へ行こう!」運営)▽野田耕一(季刊「陶工房」監修)▽森由美(陶磁研究家)▽山本毅(「和樂(わらく)」ライター)=敬称略、五十音順

[NIKKEIプラス1 2019年10月12日付]

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