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タニタは独自の「働き方改革」に取り組む(東京・板橋のタニタ本社)

タニタは独自の「働き方改革」に取り組む(東京・板橋のタニタ本社)

体脂肪計や体組成計で国内シェアトップのタニタ(東京・板橋)は、会社が社員の独立を支援し、個人事業主として新たに業務委託契約を結ぶ、独自の「働き方改革」を進める。フリーランスとなったメンバーは社員時代と同じ仕事を続けられる半面、働く時間や場所は自由。社外の仕事を増やして収入増につなげることも可能だという。賛否両論の反響を呼んだ新制度を活用し、「会社の顔」でありながら独立して個人事業主となった2人に、働き方や意識がどう変化したのかインタビューした。

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公式ツイッター「中の人」(35) ブランド統合本部 新事業企画推進部
ネットの世界ではかなりの有名人。「実はタニタを退職して、いまはフリーランス」というつぶやきには、「『中の人』が実は外の人だった」と驚きの声が広がった。

――制度のスタートと同時に独立したそうですが、不安はありませんでしたか。

「当時はちょうど入社10年目で、私自身は、新しいことに挑戦するチャンスが増えてスキルをつけることができれば、逆に将来の不安はなくなると思いました。でも家族は不安だったようです。『そんな制度に乗っかって大丈夫なの。そのうち切られるんじゃないの』と聞かれました」

「その心配は当然だと思うのですが、タニタにはそんなに潤沢に人がいるわけではありません。単純に考えて、今いる人をわざわざ切る理由はないですし、会社にとっても社内のこともわかっていて気心も知れている元社員は使いやすいはず。だからそんなに簡単に『はい、さようなら』とはならないと思っています」

――会社を信頼しているわけですか。

「そうですね。以前、社長と1対1で仕事をした経験があって、個人的に社長を信頼していますし、今、独立せずに社員でい続けたからといって、将来安泰かと言われれば、そんなこともないでしょう。だったら思い切って挑戦したほうがいいかなと」

時間の使い方がとても自由になった

――個人事業主になって一番の変化は何ですか。

「通勤や残業という概念がなくなって、時間の使い方がとても自由になったことです。自分で時間をコントロールできるのは非常にいいですね。働く時間は日によってバラバラで、平日は6時間くらいのことが多く、逆に土日に働くことが増えました。といっても、朝から晩まででなく、昼間は家族と一緒に過ごし、夜10時くらいから1、2時間働くので、そんなに苦ではありません」

「社員時代は『何かやらなきゃ』という気持ちがあって、無理して優先順位が低いものまで残業してやったりしていた気もしますが、独立後は意識して優先順位をつけ、いまやるべきことに集中してやるように変わってきました」

タニタ公式アカウント「中の人」

タニタ公式アカウント「中の人」

――ずばり手取り収入は増えましたか。

「1年目、収入はかなり増えました。ただ増えた分、住民税と国民健康保険料の負担がかなり大きくなったのは驚きでした。そういう税金・社会保険はこれまで天引きされていて、自分自身で払っている感覚もなかったので、余計リアルに感じた面もあります」

外部の人に積極的に会いに行く

「1年目は、経費にどういうものを計上すればいいのかよくわかっていなかったので、確定申告する段階になって、もっとちゃんと領収書を集めておくべきだったと後悔しました。でも2年目以降はきちんと経費管理をしているので、税務上のメリットも感じています」

――仕事に対する向き合い方に変化はありましたか。

「時間を自由に使える分、意識して外部の人に会いに行くようになりました。以前は『社員』として仕事上必要な人に会うという感覚だったのが、いまは自分のスキルを高めたり、人脈づくりをするために、社員時代には会わなかったような人にも積極的に会いに行っています」

「私はツイッターを担当しているので、芸能人や声優さん、音楽関係者などにも会いに行きます。個人事業主として生きていくには、いろいろな人との関わりが重要ですし、どういう人とつながっているかが将来の仕事の幅にも影響してくると思います」

組織の枠を超えて動ける

――仕事の内容は、社員時代からあまり変わっていないのですか。

「私のミッションは、会社の売り上げや利益、ブランドに貢献することであり、ツイッターなどSNS(交流サイト)の運用や、アニメ・ゲームなどのコンテンツとのコラボレーション商品の企画・販売などを『基本業務』としています。これらについては年間の売り上げや利益目標が設定されていて、その達成度合いが次年度の会社との契約金額を算定するベースとなります」

「目標達成に向けて、実際に何をやるかはかなり私の裁量に任されています。独立して一番変わったのは、組織の枠を超えて動けるようになったことです。自社工場のある秋田県に出張して現地の社員と生産体制を組み上げたり、販売元と販売計画を練ったり、社員時代とは動き方が変わりました。こうした経験が、仕事の領域をさらに広げていくことにもつながる。独立して、好循環が生まれていると感じています」

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