骨や肉まで真っ黒なニワトリ ここまで黒いのはなぜ

日経ナショナル ジオグラフィック社

黒いニワトリの過去と現在

黒いニワトリの謎は科学的に解明されたが、これらの品種の歴史はまだ解き明かされてはいない。

黒いニワトリについて初めて記したのは、マルコ・ポーロだと言われている。1298年、アジアを旅行していたマルコ・ポーロは、「ネコのような黒い毛を持ち、最高の卵を産む」と記している。確かなところはわからないが、この説明は烏骨鶏を指すものと考えられている。

その後、この珍しい色のニワトリは珍重され、世界に広まったものとアンデション氏は考えている。ある船員が東アジアの交易から戻ってきたときに黒いニワトリを持ってきたという逸話もある。黒いニワトリがヨーロッパにもいるのは、そのためかもしれない。

「人間が多様な家畜を好むのは間違いないと思います」とアンデション氏は話す。同氏は烏骨鶏の羽の遺伝子の由来についても研究しており、現在はニワトリのとさかの成長について研究している。

黒いニワトリが生まれたのは何世紀も前のことだが、このニワトリが珍しいことには変わりない。

たとえば、先に紹介した4種のうち、烏骨鶏だけはアメリカ家禽協会(APA)の品種標準に掲載されており、ショーに出展することができる。APAの理事長であるジョン・モナコ氏によると、この標準に掲載するために必要な手続きには数年かかることもあるという。

ショー用に育種された烏骨鶏(うこっけい)品種。アヤム・セマニと同じく皮膚も内臓も黒い。米テキサス州にあるフォートワース動物園で撮影(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

「アヤム・セマニは古くから存在する種ではなく、知られ始めたのも最近のことです」とモナコ氏は言う。「しかし、烏骨鶏はあちこちにいます。さまざまな変種が存在し、ショーで優勝する鳥もいます」

アンデション氏は、黒いニワトリ品種はすべて「勝者」だと、著書で述べている。これほどの色になるのは一般的にとても珍しい。「ふつうは不完全な部分があって、白い斑点や色素の不足などが生じるものです」

黒いニワトリが生まれたのは、偶然のたまものだ。しかし、それを育てて広めたのは、人間の選んだ道だ。「ほんとうに面白いのは、その点だと思います」とアンデション氏は語る。

(文 JASON BITTEL、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年9月22日付]

注目記事
今こそ始める学び特集