ハヤカワ五味の読書術 短期集中、筋トレ式で量こなせ

日経doors

読書にも「トレーニング」が必要

ハヤカワさんの読書量が増えた背景には、もう1つ理由があります。それは「自分の読み方」を確立したこと。本によってスピードは違うものの、速いときは30分~1時間、大体は2~3日で読み切ってしまう「短期集中型」の読書スタイルです。

「何日間も掛けて読んでいると、最初に書いてあったことを忘れてしまうことがあります。それで今は『重要な部分』と『つなぎの部分』を区別して、大事な部分だけ読むようになりました。読みながら気になるポイント、いずれ引用できそうなデータにはどんどん線を引く。無印良品のノック式蛍光ペンを愛用していますが、すぐに使い切ってしまうので何本か持ち歩いています」

自分に合った読書法を身に付け、読書量が増えたことで気付いたのは、「読書は筋トレと似ている」ということ。

「本は、1冊読んだだけですぐに役に立つような『特効薬』ではない。筋トレをこなすように、ある程度の冊数を読んで知識や考え方の引き出しを増やす必要があると思います。そうするうちに、公式を使って応用問題を解くように、自分で考える力が身に付くと思うんです。例えば『性差別は人種差別と構造が通じているのでは。じゃあ、関係のある本をもっと読もう』というように。情報を統合できる力を養うのが大事だと思います」

タダで得られる情報がコスパがいいとは限らない

「読書量が必要」と聞くと、「忙しいから無理」「大変そう」と気が引けてしまう読者もいるかもしれません。でも、ハヤカワさんは「きちんと1冊読み切らなくてもいい。書いてあることが1割しか分からなくても、読んだ意味はあると思います」と語ります。

「私はジェンダー論や経営に関する本を読むことが多いのですが、宇宙や物理に関する本も好き。難しくて理解できない部分もあるけれど、単純に面白い。それに、自分の仕事や普段フォローしている分野とは直接関係しない『知識の引き出し』が増えます。そこから話が弾んで、結果的に人とのつながりが広がったり、深まったりすることもあるんですよ」

「ちゃんと読まなきゃ」「元を取らなきゃ」と肩に力を入れ過ぎず、もっとラフに読書を楽しめるといいのかもしれません。

「1000円の本を毎月50冊読んだら5万円掛かりますが、それで知識も人とのつながりも増えるのなら、コスパはすごくいいと思うんですよ。ネットなどタダで得られる知識が『お得』とは限らない。『情報にお金を払う』ことの意味を考えてみるといいかもしれません」

無印良品のノック式蛍光ペンを愛用中。「キャップを取り外す手間が要らず、手も汚れないので便利です」(ハヤカワさん)
注目記事
次のページ
お薦めの1冊は『採用基準』