早狩実紀さん 陸上一本、46歳現役アスリートの挑戦

日経ウーマン

2019/9/27
陸上競技女子3000メートル障害で日本記録保持者の早狩実紀さん
陸上競技女子3000メートル障害で日本記録保持者の早狩実紀さん
日経ウーマン

2019年6月、陸上競技日本選手権女子3000メートル障害の予選で、最下位でゴールした選手に観客席から大きな声援が送られた。その選手とは約30年もの間、国内トップレベルで走り続ける早狩実紀さん(46歳)だ。

1990年の国体陸上女子3000メートルで日本高校記録を樹立し、大学に進学した91年に世界選手権東京大会に出場。卒業後は実業団などに所属し、五輪出場を目指した。

だが、20代後半に入ると記録もモチベーションも停滞する壁にぶち当たった。届きそうで届かない五輪の扉。「私はなぜ、まだ走っているのか」とふと立ち止まり、結婚や出産などライフイベントを迎えていく同世代の女性と自分を照らし合わせた。

一方、マラソン選手の高橋尚子さんや短距離選手の朝原宣治さんといった同級生が五輪で活躍する姿をテレビで見ながら、「自分にはまだ伸びしろがあるのに」と、「停滞の壁」にもがき苦しんだ。

1人でいると負のスパイラルに陥る。気分転換を兼ねて旅行に行ったり、陸上以外の世界にも友達の輪を広げたりした。そこで分かったのは、世界が違ってもみんな壁を乗り越えようともがいていること。目の前の霧が晴れるかのように、前を向いて練習に取り組めるようになった。

2018年は日本選手権の参加記録を突破できなかったが、今年は27回目の出場を達成。彼女を応援する友人たちが競技場まで駆けつけた
2018年スペイン・マラガで開催された世界マスターズ陸上2000メートル障害(45-49歳クラス)で、世界記録で金メダルを獲得