韓国の人気オーディション番組 吉本と組んで日本上陸
韓国で社会現象を起こしている人気サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101』の日本版『PRODUCE 101 JAPAN』が9月25日から始まる。101人の練習生の中から、"国民プロデューサー"と呼ばれる視聴者による国民投票を経て、最終的にデビュー組が決まる仕組みが受け、韓国では10代20代の若者に圧倒的な人気番組となった。日本でも同じフォーマットで、国民的スターの誕生をめざす。

このほど日本版に出演する101人の練習生がお披露目された。番組で課せられる様々なミッションへの挑戦を経て、最終的に11人が選ばれ、国際的に活躍するボーイズグループとして2020年のデビューをめざす。番組では、ナインティナインが国民プロデューサー代表として進行役を務める。9月25日深夜にTBS系で初回をテレビ放送。9月26日からは無料動画配信サービス「GYAO!」で、毎週木曜に最新話を配信、12月にTBS系で最終回を放送する。オーディションを主催するのは、韓国の音楽専門チャンネル「Mnet」を運営するCJ ENMと吉本興業が合弁で設立した「LAPONE ENTERTAINMENT」と、「MCIPホールディングス」だ。

『PRODUCE 101』は、韓国ではMnetで16年から4シーズンが放映された。16年にはガールズグループ「I.O.I(アイオアイ)」、17年にはボーイズグループ「Wanna One(ワナワン)」、AKB48グループのメンバーが参加した18年には、日韓合同のガールズグループ「IZ*ONE(アイズワン)」、19年にはボーイズグループ「X1(エックスワン)」を結成。それぞれデビュー直後から音楽番組で1位を獲得。8月にデビューしたばかりのX1以外は、新人賞などの各音楽賞を総なめにしている。
ファンを熱狂させた最大の要因は、最終メンバーが完全に視聴者投票で選ばれること。視聴者は国民プロデューサーとして、練習生の歌やダンスの力量、キャラクターなどが「デビューにふさわしいか」をジャッジして投票する。自分の "推し"メンバーをデビューさせるために、SNSでの書き込みや投票に自然と熱が入る仕組みだ。
日本版でも、放送前からその熱が渦巻いている。9月3日未明に練習生の顔ぶれと、彼らが歌う番組テーマ曲『ツカメ~It's Coming~』のパフォーマンス動画が公開されると、Twitterトレンドで「PRODUCE 101 JAPAN」関連が1位を獲得。YouTube動画再生回数は1週間で230万回を超えた。個々の練習生による「1分間PR動画」や、メンバー個別映像によるパフォーマンス動画の再生回数も、注目度の高いメンバーでは数十万にのぼる。今後、番組の放送期間中には、個別カメラによる映像やオフショット映像などがTwitter、Instagramなどで随時発信される。視聴者は「GYAO!」投票ページからYahoo! JAPAN IDを使って、自分が推す練習生に投票できる。

日本版と韓国版には違いもある。韓国版の練習生はほとんどが芸能事務所に所属しており、デビューにあたっては期間限定グループを組む。一方、日本版の応募条件は、事務所に所属していないこと。101人の練習生は、大手事務所の所属経験がある者から人気グループのバックダンサーを務めていた者、YouTuberとして人気を獲得している者のほか、芸能未経験者まで多彩な顔ぶれが集まった。デビュー後の活動も期間を区切らない予定だ。
アジア各国からSNSへの書き込み
LAPONE ENTERTAINMENT代表取締役の崔信化氏は「アジアに放送ネットワークを持ち、大規模イベントを開催するCJ ENMと、世界に拠点を持つ吉本興業、MCIPホールディングスがタッグを組むことで、日本発のグローバルグループがつくれる」と『PRODUCE 101 JAPAN』への意気込みを語る。すでにアジア各国のK-POPファンを中心に注目度も高く、YouTubeのコメントやSNSでは、韓国語、中国語、タイ語などでの書き込みも多い。
日本でも、韓国と同様に若い世代を引きつけて、20年のデビューに向けて社会現象を起こせるか。アジア市場をにらんでの巨大プロジェクトだけに、日本の音楽業界に与えるインパクトも大きそうだ。
(ライター 横田直子)
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