落語家イメージ、これはちょっと… それも笑いの種?立川吉笑

写真はイメージ=PIXTA
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これは師匠・談笑と交互に連載する「マクラ」エッセーです。と、前回の師匠と全く同じ書き出しで始めてみました。今回は弟子の吉笑が担当します。よろしくお願いします。

ちなみに師匠は「エッセー」と書いておられましたが、僕は「エッセイ」と書く派です。たまに「エセー」とおっしゃる年配の師匠がいて、何だかカッコイイなぁと思うこともあります。落語家というイメージ的には「随筆」が一番しっくりくるのかもしれません。

落語家という特殊な職業に就いていると、こんなふうに相手から「落語家だからきっとこうだろうな」とざっくりしたイメージを持たれていることが少なくありません。「落語家さんだったらエッセーみたいな横文字よりも、随筆という日本語表記を好まれるだろう」とか、「落語家さんは明るく陽気でいつでも洒落(しゃれ)が効いている人だ」とか。

良くも悪くもそれだけ落語家というキャラクターが皆さまに認知されているのだと思います。これが例えば能楽師や雅楽師であれば、落語家ほどはキャラクター像が立ち上がってこない気がします。

でも実際は、落語家と言っても全員が全員明るくて陽気なわけじゃありません。もちろんそういうタイプの落語家もいますが、一方で僕自身はどちらかと言えば底抜けに明るい感じじゃないですし、もしかしたら僕みたいなタイプの方が多いかもしれません。

「落語家だからきっとこうだろう」と思い込まれてしまっているなと感じることは多々あれど、最近特に印象的だったのは、初めて落語会を主催する方とメールで打ち合わせをしたときのことです。

座布団、何枚?

高座の作り方についての相談の中で「ところで座布団は何枚いりますか?」と質問されました。その方にとって落語のイメージの大部分を、人気テレビ番組「笑点」の大喜利が占めていたのでしょう。面白い人はたくさんの座布団に座るものだという認識があったようです。僕が「1枚でいいですよ」と答えると、返ってきたのは「またまた~」という一言。僕が謙遜して1枚でいいと答えたと思われたのでしょう。思いがけない返信に笑ってしまいました。

「落語家はとにかくお酒が好き」というイメージを持たれている方も少なくありません。打ち上げのような場所では当然として、落語会が始まる前の楽屋でキンキンに冷えたビールを出されたことが何度もあります。落語家はお酒が心底好きで、本番前でも構わずにお酒を飲むつわものぞろいだ、というイメージをお持ちなのでしょう。そういう落語家像に憧れもありますけど、基本的には高座前にお酒を飲む落語家は現代では皆無と言ってもいいくらいだと思います。僕に至っては1年以上禁酒しているので、今は打ち上げですらお酒を飲みません。

「コンピューターに疎い」というイメージを持たれることもよくありますが、僕自身はスマホはもちろん常にノートPCを持ち歩き、収録した高座音源はすぐにWEBサーバーにアップするくらいにはパソコンを使いこなしています。「字が綺麗(きれい)」というイメージを持たれることもありますが、真剣に書いたサインを渡したら「ふざけてるのですか?」と怒られたことがあるくらい字が汚かったりします。

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