露天風呂を満喫したい季節。海に浸っているような開放感が味わえる温泉はいかが。ぜいたく気分に浸れる温泉リゾートの宿を、専門家が選んだ。
船でのみ味わえる原風景

三方を山に囲まれた勝浦湾に浮かぶ小島に立つ和風リゾート。旧ホテル中の島を2019年4月にリニューアルした。島にあるのは旅館だけで、交通手段は定期船。「船でしか入れないため、秘境に行くような特別感を味わえる。和モダンデザインの施設はスタイリッシュで、リゾート気分に浸れる」(石川望さん)
露天風呂の「紀州潮聞之湯」からは、湾の外の無数の島や大小の岩が織りなす景観が望め、開放感が満喫できる。「入り江を囲む山の稜線(りょうせん)と海のビジュアルは日本の原風景そのもの」(杉本圭さん)。「海に落ちこむ地形の縁にあり、波音と一体になった入浴ができる」(柳沢美樹子さん)。湯量も豊富な源泉かけ流しの天然温泉だ。
船着き場から旅館入り口までをスロープにするなど施設全体にバリアフリーの工夫がある。浴場には男女用ともにタオルや有名ブランドの化粧水などのアメニティーを完備し、部屋から手ぶらで入浴できる。支配人の谷口秀紀さんは宿泊客に「少しの手間も取らせたくない」と話す。
(1)交通アクセス JR紀伊勝浦駅から徒歩約6分の港から送迎船で約5分(2)1泊2日、2人の1人当たりの宿泊料(2食付き、税別)2万1000円~(3)URL https://kb-nakanoshima.jp/
瀬戸内の島々一望

「海に突き出た赤穂温泉の中でも最南端にあり、眺望は絶景の一言」(藤田聡さん)。「天海の湯」「岩海の湯」ともに海までの距離はわずか3メートル。瀬戸内海に浮かぶ大小様々な島と、晴れていたら四国まで見渡せる。「寝湯や腰かけ湯など、湯につかりながら多くの場所から海が望める」(吉田裕之さん)。「日本の夕陽百選」に入った赤穂御崎の夕焼けを、大パノラマで見ることができる。
インドネシア・バリ島のホテルで海と一体化したようなプールを見たスタッフが着想し、11年に改装オープンした。「心に水面(みなも)が広がっていくよう。鏡のような海がくれる最高のぜいたくが味わえる」(山田祐子さん)
海に面した客室のほか、庭園を望む客室、景観にこだわらない料金を低く設定した客室、ホームシアターを備えた客室など様々なニーズに合わせる。モダンなインテリアや厳選された瀬戸内海産の食材を使い、非日常感を演出する。
(1)JR播州赤穂駅から無料バスで約15分(2)1万6000円~(3)https://www.ginpaso.co.jp/
海に浮かぶ!?湯船

白砂の美しい弓ケ浜沿い広がる皆生(かいけ)温泉街の一角に、和モダンをテーマにしたリゾート「RYOKAN」として5月に開業。「客室も和モダンで統一され、居心地は最高」(本多美也子さん)
7階にある展望風呂は幅が十数メートルでゆったり。湯船の縁まで湯を流す工夫を凝らす。「水平線と湯船が一体となって海に浮かんでいるよう。夜は7色の水中照明と目の前のビーチをライトアップ。水平線の船の明かりも相まって幻想的な景色を作りだしている」(川尻宣明さん)
最上階の8階では海を眺めながらスパトリートメントを楽しめる。厨房では全国の宿泊施設による朝ご飯コンテストで2位を獲得した総料理長が腕を振るう。「創作和食に合わせてソムリエがワイン、利き酒師が清酒を提案するなど新しい試みが満載。五感すべてを楽しませてくれる宿」(遠間和広さん)。滞在の快適さなどを総合的に見てトップに推す専門家も多かった。
(1)JR米子駅からバス、タクシーで約15分(2)2万4000円~(3)https://kaike-yugetsu.jp/
豪華客船をイメージ

1908年創業。海に面した客室やプールなど計5回の改装により、リゾート感たっぷりのホテルに。海へせり出すようなつくりの露天風呂で「豪華客船をイメージした広いデッキが素晴らしい。有明海を照らしながら昇る朝日を楽しめる」(沓掛麻里子さん)。
貸し切り露天風呂や女性限定の白色の泡風呂など10種類超の浴槽を用意。「まるで温泉のテーマパーク。飽きずに過ごせる」(石川さん)。ボルダリングやすべり台などキッズコーナーを完備し、赤ちゃん連れ向けのプランも進行中。有明の海の幸も好評でオーダーメイド会席は「食材や調理法を選べる」(柳沢さん)。
(1)島原鉄道島鉄本社前駅から徒歩約3分(2)1万1500円~(3)https://www.nampuro.com/