オンラインの旅行ビジネスは当時、まだ今ほど広がっていませんでした。これは伸びそうだし、在庫をもたなくていいビジネスでもある。チャンスがあるなと感じたのです。たまたま、知り合いの紹介でエボラブルアジアの会長である大石崇徳氏と知り合いました。大石さんは私より10歳年上。学生時代に会社を作ってすでに旅行ビジネスを手掛けていました。最初は私が大石さんから旅行商品を仕入れる形で取引関係が始まり、信頼関係を構築したところで2人でエボラブルアジアの前身である旅キャピタルを共同創業しました。

上場までの8年間、苦しんだとき、神父の話をいつも思い出した。

旅キャピタルを07年に創業して間もないころから上場を目指すことに決めたのですが、思いの外、長い時間がかかってしまいました。簡単に言うと内部管理の体制がしっかりできていなかったことと、ケアレスミスなどもありました。結局、準備を始めて8年後の16年に東証マザーズに上場、17年に東証1部へ市場変更しました。上場準備期間が8年というのは、普通よりかなり長いんです。たいていはそれまでに上場できるか、あきらめるか。苦しかった。でも、あきらめませんでした。

そのころ、折に触れて思い出していたのは、大阪星光学院で毎日のように神父様のお話に出てきた「嘘をつかない。とりつくろわない」という話。おかげで、どんなに厳しい状況でも、とにかく不正なことはすべきではないという倫理観をもっていられました。

ビジネスでは稼いで、収益で社会貢献したいと考えるようになった。

ビジネスでは業種業態にこだわらずにチャンスがあるところに積極的に参入したいと考えて、M&Aも進めています。一方で、ビジネスで稼いだら収益の一部を社会貢献に投じたいと考えるようになりました。そこで今年、個人的にミダス財団という財団を作って、ベトナムの教育支援から始めました。

ベトナムにはITオフショア事業で進出しています。ベトナムの農村などでは経済的な理由で小学校、中学校に通えない子どもがまだいます。孤児も多いです。そうした子たちを支援しています。

大阪星光学院の先輩や同級生には、今も仕事上で力を借りています。エボラブルアジアで民泊関連の営業を担当してくれているのは、先輩の宮下真嗣さんですし、ミダス財団の理事である植田和則さんは同級生です。

実は私は中学受験が阪神大震災の直後で、受験日程が例年と異なったため、灘中学校と大阪星光学院の両方を受験しました。灘は不合格で第2志望に進んだのです。しかし、遊んでしまった時も苦しい時も見守り支えてくれたのは大阪星光学院の先生たちの言葉であり、友達でした。良い6年間を過ごせたと感謝しています。

(藤原仁美)

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