ジェラードン 「ボケ」2人が強烈、握手会ネタで飛躍
西本武徳、海野裕二、かみちぃのトリオで、様々なコントで注目されているジェラードンが新たな局面を迎えている。ネタ番組などで最も親しまれているのは、地下アイドルの握手会を舞台にしたコント。アイドルにふんした、かみちぃの握手会に西本演じる熱狂的ファン・ごろうさんがやってきて、「はがしスタッフ(握手会などで制限時間がきたらファンを引き離す担当者)」役の海野が2人の振る舞いに翻弄されるのが基本的な流れだ。
「うちのガヤがすみません!」(日テレ系)では竹内涼真と、「櫻井・有吉THE夜会」(TBS系)では松坂桃李と、このコントでコラボしたことで3人はお笑いファン以外からも広く知られる存在になった。
「最初にこれをテレビでやったのは『有田ジェネレーション』(TBS系)。ここで認めてもらえたのか、それまでほとんどオーディションで通過できなかったのに、ほかの番組にも出られるようになりました」と海野。西本も「ユーチューブの再生回数が跳ね上がりました」と、握手会のコントが高く評価された喜びを語る。
結成は2008年。もともとコンビで活動していた西本と海野に、後から、かみちぃが加わる形でトリオになった。「宮崎から1人で出てきて10人くらいとコンビを組んだものの、どれも長続きしなかったんです。NSC(吉本総合芸能学院)のときにクラスが一緒で仲が良かった海野に2年間アタックし続けて、8回目くらいに入れてもらえました」(かみちぃ)。
結成前はトリオになることを渋っていたという西本も「3人いるとできることが広がるから、誰か1人が前に出るときに、コンビに比べると有利な気がする」と語るなど、今ではトリオの利点を感じている。
現在トリオとして憧れの存在は、ネプチューンと声をそろえる。「大ボケが2人いるところが好きで、テレビでの活躍も理想的」(海野)というのが理由だ。
養成所時代の同期には、渡辺直美やジャングルポケットがいるが、徐々にテレビの露出を増やし、昨年の「キングオブコント」では、周囲から決勝進出を期待される存在にまでなった。結果的には準々決勝で敗退してしまったが、そこから得られたものも大きかったという。
「周りからのプレッシャーを勝手に感じて予選でシビアになってしまった」と西本が語れば、「職人的な感じになっちゃったよね」と、かみちぃも同調する。海野は「毎回ネタが終わったあと、どんよりした空気になってしまって。今年は、そのモードに入るのはやめようと思ってます。まずは楽しまないと」と語った。
目下の課題はトーク。「握手会ネタだけのイメージを変えたいというのはあります。今年の『キングオブコント』もそこを意識してチャレンジしたいです」(海野)。
冷静さを失わず取り組む3人。コントの実力には定評がある。トークバラエティで弾みを付けたときの飛躍が楽しみだ。
(「日経エンタテインメント!」9月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2019年9月6日付]
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