白ワインは低糖質 しかも赤より殺菌効果が強力だった

日経Gooday

「確かに白ワインのポリフェノールは、赤ワインに比べ、量は少ないです。しかし量は少なくても、その性能は赤ワインに勝る部分があります。それはカラダに吸収されやすいということ。白ワインに含まれるポリフェノールは、赤ワインのポリフェノールに比べて分子が小さく、そのためカラダに吸収されやすいのです。つまり、量は少ないけれど性能がいいのです」(佐藤さん)。なお、佐藤さんによると、日本の甲州種という品種はポリフェノールの含有量が多く、健康効果が期待されているのだという。

白ワインのポリフェノールがカラダに吸収されやすいとは朗報である。甲州種とは日本固有のワイン用のブドウで、800年の歴史を持つ。昨今では甲州種を使った日本ワインが国際ワインコンクールで入賞するなど注目を集めている。これは期待大ではないか。

では「カラダに吸収されやすい」という白ワインのポリフェノールの効果を、最も効果的に得る方法はないのだろうか?

「それは食事の最初に飲むことです。最初に白ワインを飲むと、早くからその抗酸化作用などを得ることができます。一般に、フレンチやイタリアンでは、前菜と一緒に白ワインを飲み、赤ワインは食事の後半で飲みますよね。あれは実に理にかなった飲み方なんです」(佐藤さん)

前菜で出るものは、魚介類も多く、こってりした味付けのものは少ないから、白ワインのほうが食べ合わせがいいとは思っていた。だが、それだけでなく、健康効果の面からも推奨できるものだったとは!「昔から行われてきたことで、今もなお残っていることはきちんと意味があるんですよ」と佐藤さんは笑う。先人たちが残してくれた素晴らしいペアリング、しかと我が身で体感するとしよう。

また、ポリフェノールの含有量について、白ワインは赤ワインと比べれば少ないものの、他の酒と比べると多いのだという。「白ワインは赤ワインよりポリフェノールが少ないのは確かですが、それはあくまで赤ワインと比較したときの話です。日本酒にはポリフェノールはほとんど含まれていませんし、ビールも少量です。それらに比べれば白ワインのポリフェノールは断然多いといえます」と佐藤さん。

白ワインは強力な殺菌効果があり、暑い時期にピッタリ

佐藤さんは、前菜と一緒に白ワインを飲むのは、別な観点からもお勧めだという。

「白ワインを先に飲むといい理由はもう1つあるんです。白ワインに含まれる酒石酸、リンゴ酸などをはじめとする有機酸には、強い殺菌力があることが知られています。有機酸はアルコールとともに相乗的に働き、効果を発揮してくれます。特に赤痢菌、サルモネラ菌、大腸菌など、食中毒を引き起こす菌に有効です。具体的にはサルモネラ菌の場合10分、大腸菌は20分で、10万個以上の菌を数個にまで減少させます。殺菌力に関しては、赤ワインよりも断然優れています。赤ワインの半分の量で同等の殺菌効果が得られます」(佐藤さん)

生牡蠣と白ワインという組み合わせは理にかなっていた。写真はイメージ=(c)Maksim Shebeko-123RF

白ワインには生牡蠣をはじめ、魚介類を合わせることが多いが、これもまた理にかなった飲み方だったわけだ。前菜には生の魚介類が出されることが多々ある。白ワインを合わせるのは、味とのバランスだけではなく、殺菌効果も考えられてのこと。

やっぱり「生牡蠣には白ワイン」。あのぷくっとした身にレモンを搾り、ちゅるっと生のまま味わいたい。これまで生牡蠣で8回も当たっている筆者としては、ここできちんと学習しておかねばならない。生牡蠣はさておき、暑い時期は食中毒が起こりやすい。生ものを食べる際は、白ワインを選びたい。

また白ワインは「腸内環境を整える効果もある」と佐藤さん。腸内環境といえば、今、医学界で注目されているキーワード。腸は「第二の脳」ともいわれ、腸内環境はさまざまな病気にも影響するとされている。ワインに多く含まれる酒石酸、乳酸などの有機酸が腸にいい効果があるのだという。

「特に有効なのが酒石酸、ワインに含まれる有機酸化物の一種です。コルクを抜いた際、コルクの裏に結晶のようなものがつくことがありますが、それが酒石酸です。酒石酸は体内での吸収が悪いため腸まで届き、腸内細菌群のバランスを整えます。それによってビフィズス菌をはじめとする善玉菌が増え、腸内環境が整うというわけです。免疫力にも影響するだけでなく、便通などの改善効果も期待できます」(佐藤さん)

腸内環境の大切さが叫ばれている今、これは朗報である。佐藤さんはまた「赤ワインも一緒に飲むとなお良い」と話す。赤ワインに含まれるポリフェノールは、腸内環境にいいのだという。

「赤ワインに含まれるポリフェノールは食物繊維に近い効果があるのです。赤ワインのポリフェノールは分子量が大きく、そのままでは腸に吸収されません。このポリフェノールは腸内の善玉菌のエサになるのです。善玉菌により、ポリフェノールは分解され、分子量が小さいフェノールとなり、カラダに吸収されやすくなります。白ワインは早々に効果を得ることができますが、赤ワインは持続して長く効果が得られるという特徴があります」(佐藤さん)

食事の最初に白ワインでさっさと効果を得た後、持続性のある赤ワインで効果を長ーく持続させる。フレンチやイタリアンのコースの場合、白赤どっちも飲むこともまた、理にかなった飲み方だったわけだ。

白ワインの健康効果はまだまだ終わらない。「白ワインはカリウムを豊富に含んでいます。カリウムには利尿効果があり、それによって新陳代謝が活発になります。また尿と一緒にカラダのナトリウム(塩分)を排出する働きがあるため、血圧が下がる効果も期待できます」(佐藤さん)

このほか、先ほど挙げた甲州種を使った白ワインには天然保湿成分のアミノ酸、プロリンが多量に含まれていると佐藤さんは話す。「含有量はヨーロッパのブドウ品種で造った白ワインと比較すると、2~3倍程度にもなります。プロリンは破壊されたコラーゲンを修復する効果があり、肌に潤いをもたらしてくれます」(佐藤さん)

美肌効果というと、日本酒がよく知られているが、白ワインにもあったとは! しかも日本固有のブドウ品種というところが興味深い。

白ワインも低糖質だった!

ここまでの佐藤さんの話で、白ワインの健康効果も充実していることがよく分かった。

だが、1つ気になるのが白ワインの糖質である。いくら健康効果が高くても糖質が高いとなると手を出しにくくなる。糖質のとり過ぎは、肥満の原因となるのはもちろん、血糖値も上昇させる。近年は、食後に血糖値が急上昇する食後高血糖(血糖値スパイク)のリスクもよく指摘される。また、中性脂肪値を上げる大きな要因の1つが糖質であることは、当シリーズの以前の回でも紹介した通りだ。メタボを気にしている人なら、できるだけ低糖質のお酒を選びたいと思っている人も少なくないだろう。

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