古代ロマンに興奮 墳丘や石室を見学できる古墳10選

大阪府の百舌鳥(もず)・古市古墳群が世界遺産になった。各地に築かれた古墳の数は、なんと15万基以上。古代のロマンに浸れるおすすめを専門家が選んだ。

■1位 今城塚古墳(大阪府高槻市)740ポイント
立ち入り自由な大王の墓
大王の墓である墳丘に登ることができる(大阪府高槻市の今城塚古墳)

歴史の研究家の間で第26代継体天皇の本物の墓だと考えられている前方後円墳。宮内庁が「継体天皇陵」に定めているのは太田茶臼山古墳(大阪府茨木市)だが、地名の考証や埴輪(はにわ)の年代推定などから、今城塚が大王の本当の墓だと推測されている。宮内庁の管理ではないため、自由に立ち入りや調査ができる珍しい古墳だ。「陵墓の指定は変更しないという宮内庁の固い方針のおかげで大王の墓に立ち入れる。得がたい経験」(松木武彦さん)

高槻市教育委員会による学術調査によって大王墓ならではの威容が明らかになり、大量の埴輪が出土した。出土状況や破片の位置を基に、築造当時の姿を正確に復元。隣接する博物館では「企画展や講座も充実している」(吉村靖徳さん)。

継体天皇は武烈天皇の没後、嗣子がいなかったために、北陸地方から畿内に迎えられ皇位を継いだ。それが「継体」の名前の由来ともいわれる。大王位を巡る政争など古代国家の興亡に思いをはせられる古墳だ。

(1)墳丘への立ち入り 可能(2)石室の見学 不可(3)今城塚古代歴史館(電話072・682・0820)

■2位 埼玉古墳群(埼玉県行田市)570ポイント
記録刻んだ1500年前の鉄剣も
稲荷山古墳から出土した鉄剣(埼玉県行田市のさきたま史跡の博物館)

5世紀後半から7世紀初めごろまでに築かれた9基の大型古墳が集まる。西暦471年に当たると考えられる「辛亥(しんがい)年」の文字を刻んだ鉄剣が出土した稲荷山古墳で有名。「巨大な複数の古墳とともに、鉄剣をはじめとする出土品が展示され、遠足や校外学習に最適」(川尻秋生さん)

長さ120メートルの稲荷山古墳からほど近くに二子山古墳、将軍山古墳といった巨大前方後円墳や、丸墓山古墳(直径105メートルの円墳)が点在。全体が古墳公園として整備されていて「歩いて回るのも楽しい」(空閑(くが)彩子さん)。「埼玉」は「さきたま」と読む。

葬られたのは、武蔵国(現在の埼玉県・東京都・神奈川県の一部)を治めた国造一族とみる説がある。国造(くにのみやつこ、こくぞう)は古代日本の地方行政官で、地域の有力者が就くことが多かった。日本書紀には6世紀前半の安閑大王の時代に国造の地位を巡って同族争いがこの地で起こったことが記されている。

前方部から後円部に歩いて見学する人たち(埼玉県行田市の稲荷山古墳)

古代の真実に出土品や文字記録から迫れる古墳として、古代史ファンの人気も高い。

(1)可能(2)一部の墳墓で可能(3)埼玉県立さきたま史跡の博物館(電話048・559・1111)

■3位 保渡田古墳群(群馬県高崎市)560ポイント
本来の姿、完全に再現

5世紀ごろつくられた八幡塚古墳は、調査データに基づいて完全に復元された。前方後円墳の形を縁取るように赤褐色の埴輪が配置され、さながら舞台のよう。古墳といえば木々が茂るイメージがあるが、これが本来の古墳の姿だという。「くまなく葺石(ふきいし)が敷きつめられた墳丘の壮大な景観や、埴輪群の物語性を楽しめるのが魅力」(スソアキコさん)

船や建物など無生物をかたどることが多かった埴輪に、人物や動物が頻繁に出てくるのは5世紀中ごろから。埴輪の場所も古墳上部の広場から堤など外側に移った。外からの視線を意識した古墳は「見られる」ためのメディアやモニュメントとして古代社会で機能していたことをうかがわせる。

「5世紀後半の東国の代表的古墳がビジュアルに見られる」(右島和夫さん)。「石棺などの埋蔵施設も分かりやすい。王を中心とした東国の古墳時代の実像がわかる」(小林健二さん)。

(1)可能(2)可能(3)かみつけの里博物館(電話027・373・8880)

■4位 西都原古墳群(宮崎県西都市)540ポイント
九州最大 300基以上が点在

九州最大の古墳群で、広大な台地に300基以上の古墳が点在する。4~7世紀にかけて営々と築かれた。「南九州独特の柄鏡(えかがみ)式と呼ばれる、方墳部がバチ状に広がらない意匠が特徴の前方後円墳から、古墳時代後期まで多彩な古墳がある」(松本弥さん)

近畿にもあまりみかけない規模と長い時間をかけてなぜ九州に巨大古墳群ができたのかなど謎は多い。「日本国の始まりを考える上で貴重な古墳群」(森村宗冬さん)

資料館も充実。「博物館内の考古学研究所で研究の過程を追体験できる」(吉村さん)。「レンタサイクルもあり自転車で巡るのも楽しい」(空閑さん)。

(1)一部可能(2)一部可能(3)宮崎県立西都原(さいとばる)考古博物館(電話0983・41・0041)

■5位 百舌鳥・古市古墳群(大阪府堺・藤井寺市など)480ポイント
世界遺産にも登録

日本最大の前方後円墳である仁徳天皇陵(大山古墳)が代表で、国際的にも五指に入る先史時代のモニュメントとして知られる。7月には世界遺産に登録された。

巨大古墳の多くは大阪湾から大王の本拠地がある奈良盆地に向かう街道沿いに点在する。外交使節に自らの権力を見せつける目的もあったと考えられ「国威発揚をかけた倭(わ)の王たちのプライドが感じられる」(森村さん)。

登録された49基の多くは宮内庁陵墓として保全のため立ち入り禁止。「登録を機に学術調査が進むと期待したい」(水谷千秋さん)、「今後の保存活用に期待」(小林さん)との意見があった。

(1)津堂城山古墳など一部は可能(2)原則不可(3)堺市博物館(電話072・245・6201)など