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山口智子さん 突出した存在感と後輩へ伝えたい思い

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NIKKEI STYLE

早いもので9月に入りました。年度における中間期を迎えるこの時期は、テレビの世界では夏ドラマが終了します。特にNHKの朝ドラ枠は、春から始まり半年にわたって放送されたドラマが終盤を迎えることで、毎年注目を集めています。現在は、広瀬すずさん主演のNHK連続テレビ小説「なつぞら」が放送されていますが、8月15日に放送された第118話にて、山口智子さんが演じる亜矢美が姿を消したことが話題になりました。

亜矢美は、広瀬さんが演じる主人公なつの兄・咲太郎の育ての親。おでん屋「風車」を女将として切り盛りしてきた人物です。なつの上京後は、部屋を下宿として提供するなど、2人にとって心の支えとなってきましたが、咲太郎の結婚と店の立ち退きを機に姿を消し、電車でどこかへ旅立つラストシーンで締めくくられました。放送後には番組の公式ツイッターに、「最初から最後までカッコイイ亜矢美さん」「すてきな亜矢美さんから元気をいっぱいもらいました。いつか、また…」。「山口智子さんはホントかっこいい!最後はチャコ先生っぽかった」。など、常に前向きではつらつとした亜矢美が画面から姿を消すことを残念がる書き込みが数多くありました。

突出や失敗を恐れない姿勢

実は、「なつぞら」に亜矢美が登場したばかりのころは、ネット上では賛否が混在していました。亜矢美のリズミカルな立ち居振る舞いと、サバサバした姉御肌のキャラクターは、1996年に放送されていた大ヒットドラマ「ロングバケーション」(フジテレビ系)で演じた山口さんの役どころにも近く、新鮮味が足りないという意見もあったのです。ですが、回を重ねるごとに「今を懸命に生きる喜び」を素直にはつらつと表現し、常にたくましく前向きに進み続ける亜矢美の姿に、視聴者は勇気をもらい、元気づけられ、やはり山口さんだからこそ演じることのできる役柄なのだと次第に納得していきました。

「29歳のクリスマス」(94年)「ロングバケーション」などの大ヒットドラマで、主役を演じてきた山口さんは、女優として自身も時代を代表する突出した存在感を打ち出してきました。それから20年以上が過ぎた今でも、一貫して突出したキャラクターを見事に演じ切ったのです。

突出しているということは、目立つことでもあり、たたかれる可能性も秘めています。そうした役作りは、かなり勇気がいるものです。ですが、山口さんは亜矢美という破天荒なキャラクターを、突出したはじける演技を徹底させることで、私たち視聴者に圧倒的な存在感を示しました。この突出するということについて、山口さんは16年の雑誌「FRaU」のインタビュー記事の中で次のように語っています。

「今の時代って、『突出してはいけない』『失敗してはいけない』って考え方に縛られて、無難にすまそうとする人が多い。私はそういう、平均的に単一になっていく世界って寂しいと思う。世界はもっと色とりどり、様々な個性で輝いていてほしい。人と同じではつまらないでしょ? 平均点ばかり狙っていたら、面白いものなんか世の中に生まれてこない。こんなふうに失敗を極端に恐れる時代から、どう抜け出すか。今、私たち大人の志や心意気が試されている気がします」

失敗を極端に恐れる時代から、どう抜け出すか。今、私たち大人の志や心意気が試されている。この山口さんの考え方は、若手の役者さんもそろっている「なつぞら」の撮影現場にも反映されていたようです。ウェブサイト「リアルサウンド」のインタビューにおいて山口さんは、年長の役者として次の世代のために何を伝えるべきかについて、次のように語っています。

年長者として次の世代に何を伝えるか

「直球で勝負する若い時代に比べて、年を重ねると色々な変化球を面白がれる心のゆとりが生まれてきます。年長者としてできることは、『力を抜いて、その状況に飛び込んで、もっと自由に、楽しくのびのび、もっともっと色々な個性ある表現をしていいんだ』ということを、身を以て実践しながら、心を解き放てるような空気をつくって、若者たちを応援することかもしれません」

実際、咲太郎役の岡田将生さんは、山口さんの自由なお芝居にすごく刺激を受けていると、コメントしています。

この山口さんが身をもって伝授する「突出したっていいのだ。自由にのびのびと」というメッセージは、若手に良質な刺激を与え、結果として、チーム全体のサポートにもつながったのだと思います。「なつぞら」は高評価、高視聴率を維持し続けてきました。

実は、山口さん自身が「年長者の務め」と表現するこの役割は、ドラマの現場におけるチームだけでなく、どの現場、どのチーム、どの組織にとっても重要な位置を占めています。

若手が失敗を恐れて小さくまとまってしまったら、チーム全体として、発想力や機動力のあるパフォーマンスを生み出すことはできません。年長者は、できる限り、若手がのびのびと潜在能力を発揮できる環境を生み出してあげることが大切です。そうすることがチームや組織の成果にもつながります。

さらに、そのメッセージを打ち出す年長者には一貫性が備わっていないと若手はついてきません。常に朝令暮改の指示やメッセージを出す上司や年長者の発言は説得力に欠けており、若手は前進する上での軸を見失ってしまいます。経験に裏打ちされた時代の先読み力を活かし、変化を促していくための柔軟性は必要であるものの、気分や邪心で言うことを頻繁に変えてしまうようないい加減さは、若手にとって害悪となります。

「年長者は下の世代に良質な刺激を与えてこそ意味と価値がある」山口さんから発せられる言葉からはそんなメッセージをくみ取ることができます。

FRaUのインタビュー記事の中で山口さんは、年を重ねることについて次のように語っています。

「年を重ねたぶんだけ、人間としてストンとそこに立っただけで人生の厚みを醸し出せる存在感を放てるようになりたい。『ザマーミロ、ここまで来てみろ』って言えるような、カッコいいオーラを発したい(笑)。とにかく学び続けて、目一杯感動して、『世界一幸せだ』と胸を張れる人生。いろんな再発見や感動は、そのための修行の道だと思っています」

言葉はサバサバしており、小気味よい荒っぽさも感じられますが、山口さんの発するメッセージには、次の世代をいとおしみ、自身が還元できるものを引き継ごうとするやさしさがにじみ出ています。

失敗を恐れずかつ実行力の伴う上司や年長者の思いやパッションは、必ず下の世代に伝わるもの……。

山口さんが仕事と向き合う姿勢には、管理職世代が今の時代に求められる心意気が込められているのではないでしょうか。

鈴木ともみ
 経済キャスター、ファイナンシャル・プランナー。日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。テレビ、ラジオ、各種シンポジウムへの出演のほか、雑誌やWeb(ニュースサイト)にてコラムを連載。主な著書に『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。株式市況番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重TV・ストックボイス)キャスターとしても活動中。

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