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アマゾン、サバンナ化も 伐採が最悪の森林火災招く

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/8/27

ナショナルジオグラフィック日本版

NASAがとらえたアマゾンの森林火災による煙の衛星画像(Photograph by NASA Earth Observatory, Lauren Dauphin, using MODIS data from NASA EOSDIS/LANCE and GIBS/Worldview and VIIRS data from NASA EOSDIS/LANCE and GIBS/Worldview, and the Suomi National Polar-orbiting Partnership)

南米アマゾンの熱帯雨林で起きている大規模な森林火災は、非常に激しく延焼中で、近隣の都市は、厚い煙に覆われている。

ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は2019年、過去最高となる7万2843件の火災を報告した、と複数の報道機関が報じている。そのうちの9000件を超える火災が、8月中旬に発生した。

火災の正確な規模はまだわかっていないが、ブラジル北西部の数州にまたがり燃え広がっている。8月11日にはNASA(米航空宇宙局)が、火災は宇宙から見えるほど大規模だと述べた。

「アマゾンで起きた森林火災では、間違いなくワースト2に入ります」とアマゾンで活動する生態学者でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(協会が支援する研究者)でもあるトマス・ラブジョイ氏は話す。

「森林の伐採が近年増加した結果だということに、疑問の余地はありません」

■伐採が増えて、火災が増えた?

2018年にボルソナロ現ブラジル大統領が選出されて以降、過剰に続けられる森林伐採に、環境保護の活動家たちはずっと警鐘を鳴らしてきた。そもそも選挙戦では最大の政策としてアマゾン開発を打ち出し、就任後それを実行してきた。

INPEが今月発表したデータによると、ブラジルで伐採された森林は、今夏だけでも過去3年間の合計を超えるという。

「過去数年の森林火災は、主に雨不足によるものでしたが、今年は十分に雨が降っています」と、生態学者アドリアーネ・ミュールバート氏は言う。氏はアマゾンの森林破壊が気候変動に果たす役割を研究してきた。

「今回の火災は、森林伐採が原因と考えられます」

アマゾンでは、木材用に加えて、大豆畑や牛の放牧地を作るために、大量の木が伐採されている。手っ取り早く開拓するために、森を焼き払うことも少なくない。アマゾンの森林火災は、大半がこのように人間が火をつけ、その後制御不能に陥ったものなのだ。

森林破壊により森が失われると、その地域全体が乾燥し、さらなる森林減少をもたらす「負のスパイラル」に陥ると、ラブジョイ氏は説明する。

アマゾンに降る雨の多くは、熱帯雨林自体から生じているため、森が消えれば降水量も減る。乾燥が進むと、やがて回復不能点に達し、熱帯雨林と言うよりはサバンナというべき状況になりかねないと、専門家は懸念している。

「アマゾンには、この限界点が存在します。降水量の半分を自己生産しているからです」とラブジョイ氏。「アマゾンは、一つのシステムとして管理しなければならないのです」

■地球の気候にも影響

今後も森林の伐採や管理ミスが続けば、今回のような火災が続く可能性があるとラブジョイ氏とミュールバート氏は警告する。これほど大規模に森林が失われれば、地球規模の影響が出る恐れがある。

アマゾンの保護は、地球温暖化を緩和する重要な方法の一つによく数えられている。毎年、膨大な量の炭素を吸収しているその森林を伐採したり焼いたりすれば、蓄えていた炭素が放出されるだけでなく、炭素を吸収する1つの手段も失われる。

「あらゆる森林破壊は、生物多様性とその恩恵を受ける人類への脅威なのです」とラブジョイ氏は話す。「圧倒的な脅威は、大量の炭素が大気中に解き放たれることです」と同氏は付け加える。

8月の森林火災により放出された炭素量を計算するのは、時期尚早だとミュールバート氏は言う。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今月発表した報告で、気候変動による最悪の影響を回避したいならば、世界には、余剰の森林など存在しない、と述べた。

「悲劇です」と今回の森林火災とその背後にある森林伐採のことをミュールバート氏は語る。「地球に対する犯罪であり、人類に対する犯罪なのです」

(文 SARAH GIBBENS、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年8月22日付]

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