話し上手は聞き上手 会話上達のカギは相手の関心事

日経doors

相手のペースに合わせると会話が心地よくなる

会話をするときは相手の反応を見ながら、相手が喜んで話していることを聞きますが、中にはシャイであまり積極的に話をしたくない人もいます。その場合は、沈黙の時間があるのも別に悪いことではありません。

あるいは、会話のスピードを相手に合わせていくのもいいですね。相手が元気で早口なら自分もちょっと元気で早口に、相手がゆっくりめな人だったら自分もゆっくりめにします。これは「ペーシング」といい、相手との間にラポール(相互に信頼できる状態)を築く方法の一つです。これができると、お互いに心地よく会話ができます。最初は意識的に、慣れると無意識でもできるようになってきます。

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先日、一人で飛行機に乗ったときのことです。座席に座り、ポッドキャストを聴こうと思ってスマホを取り出し、イヤホンを着けようとしたとき、隣の席の男性が「あ、あなたはそれを聴くんですか。到着までの4時間、私と会話をしませんか?」と話しかけてきました。その男性はインド人で、イラン人の友人との二人連れでした。「いいですよ」と答えていろいろ話し始めました。何の仕事をしているのかと聞かれて「コミュニケーションコーチです」と答えると彼は「それはよかった! 実は最近、妻との関係があまりよくないのでアドバイスをお願いします」と言い、飛行機の中でのコーチングになりました。

その男性はものすごく元気な面白い人で、話すのが大好き。いろんなことを次々と話しまくりました。そこで私が『あなたはたぶん、奥さんの話をよく聞いていないんじゃないですか』と言うと、彼はハッとした様子で、思い当たることがあったのか急に涙ぐんでいました。

よいコミュニケーションのための会話の基本は「聞くこと」のほうにあるのです。自分のことばかり話していたら、そこから学ぶことは何もありません。これを忘れずにいれば、コミュニケーションを通じていろいろな考え方を吸収し、多くの気づきが得られると思います。

■実践!セルフエクササイズ

これは簡単ですが、かなり効果のあるエクササイズです。
今日会った人と、「意図的な会話」をしてみましょう。相手の言っていることを聞いて、質問をします。自分の口から出てくる質問はオープン・クエスチョンですか、それともクローズド・クエスチョンでしょうか。クローズド・クエスチョンの場合は、その次に必ずオープン・クエスチョンをしてみましょう。

実際に試した結果も、ぜひ聞かせてくださいね。

岩田ヘレン
さすがコミュニケーションズ代表取締役。英国出身。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社などを経て2013年、さすがコミュニケーションズを設立。グローバル・ビジネスを想定した企業向けコミュニケーション・スキル研修などを実施。著書に「英語の仕事術 グローバル・ビジネスのコミュニケーション」(小学館)。Sasuga! Podcastも配信中。メールアドレス:helen◎sasugacommunications.com (◎のところを@に変更)

[日経doors 2019年5月30日付の掲載記事を基に再構成]