バスケで全国制覇 「世界の山ちゃん」継ぐ妻の監督力エスワイフード 山本久美社長(下)

――山本さんが考える、いいチームとは。

「明るくて元気、前向きなチーム。それと、一番大事なのは『素直であること』だと思います。例えば、『世界の山ちゃん』ではクレームと言わず、『天使の声』という言葉を使っています。お客さんの意見をまずは素直に聞いて受け止められるかどうかで、次の改善方法が変わってきますから」

――もともとスポーツが好きなのでしょうか。

「好きです。小学校ではバレーボール、バスケットボール、陸上、ソフトボールをやっていました。中学ではバスケットボール部に入部。入部した時点では100%に近いぐらい次は優勝するだろうといわれていて、実際、全国優勝したのです。そこから3連覇。中学時代は一度も負けたことがありません」

亡き夫が育てた社風を壊さないよう、経営・飲食業の素人ながら社長を引き受けた

「スポーツに関しては、小学校から大学まで、ずっとキャプテンでした。中学の場合、1年生の時に、先生がキャプテンを決めます。キャプテンになったら、自分の学年をまとめないといけなくて、ほとんどの場合、そのまま2年、3年とキャプテンを続けます」

「全国大会で優勝するほど強いチームでしたから、中学でキャプテンをしていたら、高校に入っても必然的にキャプテンになってしまいました」

――チームをまとめるために意識していたことは。

「選手としては何より、まずは自分が頑張ること。先生がいないと練習をサボる子も出てきますが、その時、自分が頑張っていなかったら、他のメンバーを注意できません。ただし、命令では人は動きません。『何のために練習をするのか』を言葉で説明していました。先生に怒られたら、ふてくされたり、やる気をなくしちゃったりする子も出てきますから、その時は『悔しいから、頑張って先生を見返してやろうよ』と声をかけました」

「指導者としては、子供たちとの距離の取り方が上手だったかもしれません。バスケットボールをやっている最中にふざけたら叱りますけれども、ストレッチをやっているときとか、練習が終わったときなどは自然体。生徒たちも敬語を使いませんでしたし、メリハリのある関係を作るのは得意だったかも。社員さんとの距離も近いほうだと思います」

◇  ◇  ◇

創業者で会長だった夫は圧倒的なカリスマ性で組織を率いるタイプだった。これに対し、現社長の山本氏はチームマネジメントを心がけることで、組織をさらに成長させていこうとしている。「子供を相手にするのと、大人を相手にするのは勝手が違う」と言いながら、クラブチームを3回も全国優勝させた経験は伊達(だて)ではない。「できるのは社員を好きになること。そこから信頼関係を作っていくしかないと思っています」と語る言葉の端々から、自分ができること・できないことを見極めつつマネジメントしていこうとする姿勢が感じられた。

(ライター 曲沼美恵)

<<(上)夫急逝で社長に 「世界の山ちゃん」率いる元専業主婦

「キャリアの原点」記事一覧

マネジメント層に必要な4つのスキルを鍛える講座/日経ビジネススクール

会社役員・経営幹部の方を対象とした、企業価値を高める経営の実務に役立つビジネス講座を厳選

>> 講座一覧はこちら

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら