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危機陥っても牛肉から逃げない 人形町今半のリスク学人形町今半 高岡慎一郎社長(下)

「BSE騒動があっても従業員はみな人形町今半が好きでいてくれて、難事を乗り切ることができました」と高岡社長

お客様が半分残ってくれたと言いましたが、従業員も残ってくれた。あのとき本当に厳しくて、約1年半、管理職の給料を削減し、一般社員にも負荷がかかりました。ところが、誰も辞めなかったんです。あのとき、従業員みんなが本気で人形町今半が好きでいてくれて、なんとかこの厳しいときをみんなで乗り切ろうという空気が非常に良い形で表れ、店内の調和という私たちの強みになった。

今は怒鳴るような人はいないです。

――調和の重視では、ダイバーシティーについてもお考えがあると思います。

まず、女性が非常に活躍するようになりました。男女雇用機会均等法からおよそ30年ですが、女性が輝き出したのは特にこの10年ぐらいではないでしょうか。生産人口が減るなかで、女性に活躍してほしい。また国際的にも、日本は女性の地位が低いのが問題だということで、国でも本気で女性活躍を推してきて、法整備も進みました。

そうした中、うちではまず、女性の定着率が上がってきました。結婚しても、子供が生まれても、皆ずっと働いてくれています。そして、店長になりたいという女性も出てきました。これは本当にうれしいことです。

それに比べると、男性はパワーがなくなったかなと思いますが、女性が光り輝くと、男性もそれにつれて光り輝くもの。面白くなってきました。

――人形町今半では外国人の方も多く働いていると聞きます。

たとえばうちのケータリングの弁当工場は約400人弱が働く職場ですが、約150人ぐらいが外国人です。国籍としては、今はベトナム人が多いです。

飲食店にも、外国人の従業員はいます。皆、着物を着て接客しますが、国籍といいますか話すことができる言語のマークを名札に表示しています。最近はお客様がそれを見て、「海外から来ているのね。すごいわね」というように前向きな関心を持っていただけるようになりました。

このほど、特定技能ビザを取得するための特定技能測定試験が始まりましたが、うちでも今回4人が合格しました。3人は弁当工場の従業員、1人は鉄板焼きの料理人です。今後手続きが終われば、彼らは正社員と同じ待遇で働くようになります。

先ほど言いましたように、外食業は社内・店内の調和がとても大切です。そのためには女性も外国人も、すべての従業員がやりがいをもって働けることが不可欠でしょう。私の使命は、人形町今半がこれからもおいしい牛肉をお客様に味わっていただくために、すべての従業員のための環境整備を最優先で取り組んでいくことだと考えています。

高岡慎一郎(たかおかしんいちろう)
1958年生まれ。玉川大学卒業後、コンピューター関係の会社に就職。84年人形町今半入社。仕入れや弁当の営業など地道な業務からスタートし、店長、総支配人、常務を経て、2001年社長に就任。2018年から大規模外食企業の業界団体、日本フードサービス協会(JF)会長を務める。

(香雪社 斎藤訓之)


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