速さは競わない VRが生み出す新しい「プール体験」
連載 奈津子の家電選び後輩目線
子ども時代と違い、大人になると「健康のために利用する」ケースが多くなるスイミングプール。しかし、そこに仮想現実(VR)を活用し、楽しさと健康づくりを両立しようとしている施設があるという。家電総合アドバイザーの資格を持つタレントの奈津子さんが挑戦した。
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こんにちは、家電女優の奈津子です。いよいよ8月も終わりですが、みなさんはこの夏、プールに入りましたか。子どものころは「夏といえばプール」というイメージがありましたよね。でも、大人になってからのプールは「楽しい場所」というより「泳ぎを学んだり、ダイエットを目的として行くところ」という人も多いのではないでしょうか。そんなプールを「VR」と結びつけて、新しい楽しみ方を提案している施設があると聞いて、さっそく体験してきました。
1人用プールでゲームに挑戦
たずねたのは東京都足立区にある「TOKYO POOL LABO」。ここでプールとVRを組み合わせた水中VRゲーム「アンダーウォーターリズム」が体験できるのです。
これは自分に向かって飛んでくるブロックをはじいてポイントを競うゲーム。本格始動したのは2018年末で、これまで予約制の無料体験会を月に2日間ほど設けて、プール好きな人や、システムエンジニア、家族連れなど、150人以上がゲームを体験してきたのだとか。
使用するのは多角柱で全体が透明の移動式プール「プリズムプール」。1人が入るのにちょうどいいサイズのこのプールで、参加者はゲームに挑戦します。
プレーヤーは、バーチャル空間の中で自分めがけて飛んでくるブロックを、手に持ったコントローラーではじいていきます。モードはイージー、ノーマル、ハードの3段階。今回はノーマルを選択しました。水中に身を沈め、コントローラーとゴーグルを装備したらいよいよスタートです!
ジムとは違う新しいプール体験
近未来的な映像は臨場感たっぷり。飛んでくるブロックが一番手前にきたタイミングでコントローラーを突き出すとブロックがはじけ、スコアが上がっていきます。自由に動ける地上とは異なり、水中での負荷を逆算しながらコントローラーを突き出すタイミングを図る感覚は、従来のVRゲームとは一味違って新鮮です。イメージ的にはリズムゲームとシューティングゲームの中間のような感じでしょうか。記事で紹介している動画には音楽が入っていませんが、実際のゲーム中はノリのいい音楽が流れています。
ルール自体はシンプルなのですが、ブロックの動きがランダムかつ、時間が経過するほどに難易度が上がっていくため、集中力をフル稼働させることが求められます。結果、スコアは8000点台。満点は30000点なので半分もいかずに悔しい…!。所要時間は約3分半。プレーに没頭していたため、あっという間でした。
プレー後、ずっしりとした重みのある疲れが残るのは、思いっきり泳いだ後に似ています。ただ、パーソナルな空間で水中ならではの体感を楽しめるのは、スポーツジムのプールとはまったく違う、新しい体験だと感じました。
9月以降、「TOKYO POOL LABO」での無料体験会は予定していないそうですが、9月7日(土)、8日(日) にはよみうりランド(東京都稲城市)のプールWAIで無料イベントを実施するとのことです(プールWAIの入場料は別途必要)。興味のある方はのぞいてみてはいかがでしょう?
スピードを競う以外のプールの楽しみ方を
「TOKYO POOL LABO」を運営するのはRockin'Pool(東京・台東)。代表の西川隼矢さんによると、2015年設立の同社は「プール市場をもっと大きくすること」を目的として、これまでさまざまなプールに関係する事業を行ってきたそうです。プリズムプールも西川さんによる自作。ソフトも仲間のエンジニアが作製したオリジナルゲームなんだとか。
「水中でプレーすることで得られる最大のメリットは、重力から解放されることです」と西川さんは解説します。「浮力があるので体重が約10分の1になり、腰や膝など関節への負担が大幅に減るんですね。そのため、普段は体をコントロールしづらい高齢者の方や、体に障害のある方でも動きやすくなるんです」
Rockin'PoolではプールVR以外の水中コンテンツをほかにも多く発案しています。19年7月には都立足立特別支援学校の生徒に、同社が開発した水の上でいろいろな動きに挑戦する水上エクササイズボード「Poolno」を用いて特別授業を行いました。
プール専門のフォトグラファーとしても活動している西川さんは、アテネ五輪代表選考会にも出場経験がある水泳選手でした。しかし、現在は「小中学校の授業でうまく泳げずプールが嫌いになってしまった生徒にも、泳ぎのスピードを競うだけではない、違うプールの楽しみ方を知ってもらいたい」と考えているそうです。これは多くの人が共感できるコンセプトではないかと感じました。
「プール×テクノロジー」という新しい概念が、これからどのように普及していき、人々の生活を豊かにしていくのか。注目していきたいと思います。
女優・タレント。家電総合アドバイザー ゴールドグレード(AV情報家電)。元SDN48。特技は茶道、日舞、家電。TOKYO FM「Skyrocket Company」の「家電で快適! 生活向上委員会」コーナー(毎週火曜午後6時ごろ~)にレギュラー出演中。インスタグラムのアカウント名は「natsuko_kaden」
(写真 中山駿)
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