このことを経済学では「情報の非対称性」といいます。売り手が知っていることを買い手が知ることができない状態です。
そして採用するとき/されるときに判断される私たちの能力や経歴は、明らかに情報の非対称性があるものなのです。
買ってみて使ってみなければわからない商品を買うとき、あなたならどんな基準で商品を選ぶでしょうか。
ここに、企業側の視点から考える採用活動の本質が隠されています。
採用時には優秀さだけではなく適合度を見ている
情報の非対称性の観点から、採用活動の項目とステップとをあらためて見直してみましょう。
2段階のステップで企業はそもそも何を確認しようとしているのでしょうか。
それは適合度です。
なぜならこの採用ステップの前に、明確な基準が用意されているからです。それを仮にT(Talent)と定義します。
このTは、会社が採用を考える場面によって異なります。
たとえば新卒であれば、多くの日本企業ではどの職種につけるかを決定せずに採用します。となるとTの内容は、いわゆる地頭の良さや性格の明るさなどになることが多いでしょう。あるいは社風への適合度として「隣で働いていてもおかしくない」という定性的な感覚かもしれません。
一方で中途採用であれば、どこかのポストに人が足りていないからその補充のために募集することが多いでしょう。だとすると具体的な職務内容とか任せられる責任の大きさなどがTの内容になります。
このTの内容に対して、採用対象となる人がどれだけ適合しているかを判断する手順が採用活動です。
となれば重要なことは面接よりもむしろ最初の経歴書の方であることがわかります。
そもそも経歴が求める人材像に合っているか
このことは採用プロセスをフローで考えるとさらによくわかります。
採用プロセスとは、独立した選考の場ではありません。むしろ経歴書などで確認した「この人はTに合致するかも?」との可能性を、面接などで検証する作業です。
だから最も必要なことは、その二つの整合性であり、そもそも経歴書の時点で「この人はうちの会社が求める人材だ」と思わせることです。