夫急逝で社長に 「世界の山ちゃん」率いる元専業主婦エスワイフード 山本久美社長(上)

山本久美エスワイフード社長が手に持つ、シンボル的キャラクター「鳥男」は亡くなった会長がモデル
山本久美エスワイフード社長が手に持つ、シンボル的キャラクター「鳥男」は亡くなった会長がモデル

幻の手羽先で有名な居酒屋チェーン「世界の山ちゃん」を運営するエスワイフード(名古屋市)。カリスマ創業者だった山本重雄氏の急逝に伴い、社長に就任したのが妻の山本久美氏だ。結婚する前は小学校の教師をしていた。専業主婦時代、店に貼る手書きのかわら版通信『てばさ記』を通じて会社と関わってきたことが、社長就任を決断する決め手になったという。

(下)バスケで全国制覇 「世界の山ちゃん」継ぐ妻の監督力 >>

――2016年8月に社長就任する前は専業主婦でした。

「創業者で会長だった夫の重雄が亡くなったのが、あまりに急だったものですから。会長と私以外に取締役はおらず、私が代表取締役を引き受けるしかない状況でした。それでも、夫が亡くなったからといっていきなり社長に就任するなんて、すぐには決心がつきませんでした」

「まず、会長が亡くなった日、病院で、親しくしているお取引先から『エスワイフードをやれるのは久美さんしかいない』と言われました。当時、小学生と中学生の子供が3人いて、家のこともありました。頭が真っ白でしたから、初めのうちは何も考えられず『できません』とお断りしたのです」

「葬儀が終わった次の日だったでしょうか、違うお取引先から再び『久美さんしかいない』『僕たちがサポートするから』と言われたときも悩みました。『幹部から報告を上げさせるから、久美さんは家にいてとにかくハンコを押してくれればいい』とも言われたのですが、中途半端なことができない性格で、やるなら徹底的にやるし、やらないならやらない。ゼロか100だな、と。社長を引き受けるのであれば、従業員のみなさんと同じ空気を吸いながら、全力でやろうと思い、悩みに悩んでとうとう引き受けることにした次第です」

――企業に勤めた経験は?

「結婚する前は小学校の教師をしていましたが、企業に勤めた経験はありません。経験があったら、引き受けていなかったかもしれません」

「外部から社長を連れてくるということも、考えなかったわけではないのです。けれど、(亡くなった)会長が作った会社を人手に渡したくないという気持ちがありました。外部から社長を連れてきたら、社風も変わってしまいます。幹部の中で次期社長候補が決まっていなかったこともあり、私がやることになりました」

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧