日経エンタテインメント!

水田 ただ、『M-1』に出たことで自分たちらしさを見失っていたときもありました。

川西 16年に準優勝したあと、「次は優勝しいや!」っていう声がめちゃくちゃ高まって。それで翌年は『M-1』を意識しすぎちゃった。「今年は絶対取る! 今年逃したらあかん!」くらいの追い詰め方で、周りが見えない状態でした。普段の劇場もネタ作りも全然楽しめてなかった。

水田 17年の前半は「こうしたほうが面白い」ではなく、「こうしたほうが勝ちやすいんちゃうか?」っていうネタの作り方になってた気がします。本来はそういうものを好まないコンビだったのに、気付いたらそうなってた。

川西 そういう意味では18年のほうが楽しく過ごせていたと思います。

そうやって注目も高まっていったが、人気と背中合わせなのが世間からの厳しい目。好感度の高さはうれしい半面、複雑な思いも。

川西 最低限の危機管理は自分たちでやらなあかん時代だとは思いますが、こちらも人間ですから、「なんやこいつ!」っていう顔を見せることもあると思います。そんな顔を拡散されたら腹は立つけど「悪いことしてないからなー」って思わんとしょうがないですよね。

水田 常識に対して正直に向き合う気持ちはなくさないようにしないと、とは常々思ってます。失礼な人が来たら、こちらも普通に怒りますし、おじゃまする側だったら失礼のないように対応するのが当たり前。今は一般の方の反応を気にしすぎる風潮があるけど、過剰にならんようにしないと。

川西 芸能人の立場が弱くなって叩きやすくなっているから、それを面白がって、たかってくる野次馬もいますし。今回「好きな芸人」に投票していただいたのはありがたいけど、ここに入ったことでいい奴だと思われて、正直な自分を出したら叩かれるっていうのが嫌です。いい位置から始まったら減点方式で下がるだけやから。

着々と階段を登るなか、次のステップをどう考えているのか。

川西 水田は、セリフの少ない役者業をやりたいそうです(笑)。

水田 もう少し有名にならんと無理なんやろうな。存在感がないと。

川西 セリフが少ないのがいいんやろ?

水田 セリフが少なくて物語のキーになる人物がいい。

川西 じゃあ、あと3ステージは上に行かないと。

水田 でも、真面目な話、今やっていることを純粋に充実させていきたい。レギュラー番組も漫才も。

川西 新しいことを始める意欲というよりも、僕もそっちの気持ちのほうが大きいです。なんだかインタビュー映えしない2人ですみません(笑)。

(ライター 遠藤敏文)

[日経エンタテインメント! 2019年8月号の記事を再構成]

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