天の川銀河、S字型にねじれていた 3D地図で判明

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/8/26

銀河系の3D地図を作成

スコーロン氏らは今回の研究で、2431個の古典的セファイド変光星を利用して銀河系の3D地図を作った。

ときに太陽の1000倍の明るさになることがあるセファイド変光星は、周期的に明るくなったり暗くなったりする星で、その周期は実際の明るさと密接に結びついている。したがって天文学者は、セファイド変光星の変光周期を観測することで、実際の明るさを正確に知ることができる。実際の明るさがわかれば、地球からの正確な距離がわかる。これは、米ハーバード大学の天文学者ヘンリエッタ・スワン・リービットが1912年に発見した関係だ。

スコーロン氏らは、天文学プロジェクトOGLEの一環で、銀河系のはずれにあるものも含め、これらの若くて大きな恒星の明るさの変化を数年がかりで観測した。そして、2431個の恒星までの正確な距離を座標で示したところ、できあがった銀河系の3D地図は興味深いねじれ方をしていた。

「構造がよくマッピングされていて、距離も正確です」と、フランス、ブザンソン天文台のアニー・ロビン氏は語る。ロビン氏は銀河系のガス分布の情報を用いて、過去に同様の地図を作成している。「ガスの分布を利用して作った地図と、矛盾がないのは明らかです」

爆発的な星形成

スコーロン氏らは、銀河系の複数の渦状腕に沿ってセファイド変光星のグループも3つ発見した。年齢2000万~2億6000万年と、宇宙的スケールで言えば生まれたばかりの星の集団だ。

銀河系の比較的最近の爆発的な星形成によって誕生したと考えられる3つの恒星集団の星々。赤い点は古い星、青い点は新しい星を示している(IMAGE BY J. SKOWRON/OGLE/ASTRONOMICAL OBSERVATORY, UNIVERSITY OF WARSAW)

ちなみに、銀河系で最も古い恒星の年齢は100億~130億年だ。

銀河系では、現在は1年に10個前後の恒星しか生まれておらず、比較的最近にこれだけ爆発的な星形成が起きた理由は、厳密にはわからない。ロビン氏は、ゆっくりと運動する高密度領域が星間雲のガスやダストを圧縮して星形成を促したのではないかと言い、スコーロン氏は、近くを通りかかった矮小銀河との相互作用のせいではないかと考えている。

スコーロン氏は「セファイド変光星は、総じて、比較的若い恒星であることを忘れてはいけません」と話す。「つまり、セファイド変光星を利用して研究できるのは銀河系の比較的最近の歴史だけなのです。銀河系の古い時代の歴史については、さらなる発見が必要です」

(文 Nadia Drake、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年8月2日付]

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