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チェンジメーカーの育て方

生徒の価値観揺さぶる 国際高ISAK、力育む多様性 UWC ISAKジャパン 小林りん代表理事(4)

2019/8/18

■多様な人をまとめ、課題に挑む方法を学ぶ

世界には、生活水準の異なるさまざまな家庭がある。頭では理解していたはずだが、身に付いていなかったと実感した生徒たち。その後、話し合いは「汚れた食器の数だけ全員で腕立て伏せをしてから片付ける」で決着したという。小林氏は「文字通り、身をもって知ることで放置される食器はかなり減ったみたいです」と笑う。

多様性は「突き詰めれば、個性の違いに行き着く」と小林氏は言う。UWC ISAKでの学びは、一人ひとり異なる多くの人をまとめ、課題解決に向かう方法を考え、実行していく土台をつくるものだ。小林氏は「さまざまな個性は邪魔ではない。それがあるからこそ、自分たちの活動に深みや広がりが出るのだと、心から思えるようになります」と生徒の成長に期待を寄せる。

近年、経営方針や目標の一つとして「ダイバーシティー(多様性)推進」を掲げる企業が増えている。その背景には、人手不足や経済のグローバル化の下で成長を続けるのに「女性活躍」や「外国人の登用」が欠かせなくなっている事情がある。社会に貢献する企業を高く評価するESG(環境・社会・企業統治)投資の観点でも、多様性は主なテーマとなっている。だが、多様性を進めた先に会社のどんな理想像が描けるのか、戸惑う人も多いのが実情のようだ。

「企業の方からは、『ダイバーシティーを進めたけれど、変化を実感できない』という声をよく聞きます。それは男女の比率、育児休暇の取得率といった数字を上げるのにとらわれているせいかもしれません」と小林氏は話す。

では、多様性から得られる気づきやパワーを取り入れ、変革への化学反応を起こすには、どうすればいいのだろう。小林氏の見立てはこうだ。「自分と違う考えを持つ人を尊重し、その意見に心を開いて耳を傾ける企業文化に変えていくことが必要です。そういう組織こそが、これからの時代には強さを発揮できるのだと思います」

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小林りん
学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン代表理事。都内の高校からカナダのUWCに編入。1998年に東京大学経済学部を卒業した後、国際協力銀行などを経て2005年にスタンフォード大学大学院で国際教育政策学の修士課程を修了した。国連児童基金(ユニセフ)のプログラムオフィサーとしてフィリピンでストリートチルドレンの教育問題にかかわり、14年に現在の学校の前身であるインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)を設立。UWCの加盟承認を受け、17年8月に現在の校名になった。

(ライター 渡部典子)

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