チャレンジ精神の復活めざす ボトムアップで事業創出京セラ 谷本秀夫社長(上)

「働き方改革にも取り組みます 。例えば、今は通信技術がものすごく発達しています。次世代通信規格『5G』が普及すれば、わざわざ集まらなくてもバーチャルで会議ができます。あるいは東京の事業所では毎日1時間半くらいかけて通勤している人がいますが、テレワークにすれば生産性が上がるのではないでしょうか」

もっとフラットな組織に

「当社は製造業としてスタートしている会社なので、組織がピラミッド構造になっている部分があると思います。製造現場で大量生産をするにはその方がいいのかもしれませんが、研究者からすればピラミッド構造は機能しません。もうちょっとフラットな組織にして、若い人がものを言いやすいようにできないかと考えています」

――リーダーとしての原体験はどのようなものですか。

「ちょうど30歳くらいのときに、セラミック部品の製造過程を変えるためのプロジェクトリーダーをやりました。スタート時には数十人のプロジェクトでしたが、実際に量産に入ったときには100人規模になりました」

「パソコンのディスプレーに使われるセラミック基板を作る事業でした。当時、パソコンの普及が本格化し、一斉に売れ始めるタイミングでしたが、事業自体は赤字でした。これを黒字にするのが使命でした。作り方を変えることになり、プロジェクトがスタートする数年前から研究、開発、製造が一体になってプロセス改善のアイデアを出し、それを実現するための技術開発を進めていました」

セラミック部品の生産プロセスを検討するプロジェクトリーダーを務めた30歳ころ(出張で訪れたシンガポールで)

「研究の段階でリーダーが何人かいたのですが、実際に生産ラインを立ち上げるときには私がリーダーになりました。数億円をかけて新しい設備を導入し、焼き固めに2日かかっていたのを数時間まで短縮しました。しかし、導入当初はなかなか思うように動かず、2日に1度くらい夜中に機械がトラブルを起こして、家まで電話がかかってきました」

黒字化するのに3年

「やっと製品がつくれるようになると、今度は受注が足りなくなった。営業の担当者と一緒にお客さんのところに行って、半年か1年くらいPRして回りました。今度はそれが効き過ぎ、大量に受注したものだから生産が追いつかなくなり、またお客さんのところへ謝りに行きました。実際に黒字化するには3年くらいかかりました」

「新規で生産プロセスを立ち上げる仕事はあまりないことでしたから、そういう仕事をしたのは自分たちの世代では、私が初めてだったと思います。だけど、製造現場のリーダーになっている人はいましたよ。やはり急成長期だったので、当時は30歳といえばもう責任者という感じでした。あの経験があったおかげで、その後は少々の苦労は苦労だとは思わなくなりました」

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