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リスのふわ毛やサメの肌… 触って学べる動物の生態

2019/8/11

スタッフが目の前の動物について説明してくれる(オービィ横浜)

動物や生き物と実際に触れ合うことで生態を学べる施設が増え、夏休みの親子連れや若者の人気を集めている。横浜市の自然体験型エンターテインメント施設「オービィ横浜」が2018年の大改装で人気化したほか、大阪市などで同種の展示が好評だ。

■セミの羽つけ、なりきり写真

セガホールディングスが運営するオービィ横浜でこの4月、約100匹のシマリスが走り回る「アニマルヴィレッジ」がオープンした。餌を買えば穴を通してリスに餌を与えられるほか、ウサギやモルモットにも触れる。7月には、世界最大級のウサギであるフレミッシュ・ジャイアントやフェレットも展示の仲間に加わった。

人気が特に高いのは「シマリス観察ツアー」。自分からリスに触ることはできないが、手袋をはめて椅子に座ると、服の上をリスが駆け巡り、リスの感触を体感できる。神奈川県平塚市から訪れた9歳の女の子は「リスが元気でとても良かった。毛の感じがふわふわで見るのとは全然違う」と興奮気味だった。

夏休み期間中の9月8日までカブトムシやクワガタと触れ合える「みんなの世界昆虫展2019」、9月30日までは「昆虫スゴわざ展2019」を開く。昆虫スゴわざ展では自分が昆虫になりきれるコーナーが人気で、セミの羽をつけて木の幹に何秒間しがみついていられるか挑戦できる。セミになりきった姿を写真や動画に撮れるのが人気で、大人も楽しんでいる。横浜市の11歳の小学生の女の子は「昆虫が好きで、特にセミのなりきりが楽しかった」と満足げだ。

柱にしがみついてセミに挑戦する(オービィ横浜)

セガがオービィを改装したのは18年4月。本物の動物と触れ合えるようにしたことで「リニューアル前と比べ来場者数が2倍に増えた」(森隆之館長)という。

「なるべく触れ合いができる動物を優先して選んで展示している」と森館長。アニマルヴィレッジ以外にも動物と触れ合えるゾーンは4カ所あり、猫やヒヨコ、インコなど身近な動物から、カピバラやハリネズミ、グリーンイグアナやムツオビアルマジロといった珍しい動物とも触れ合うことができる。

人気コンテンツは他にもある。施設内のシアターでは幅40メートル、高さ8メートルの巨大スクリーンに南アフリカに生息するミーアキャットの生態を紹介する映像「ザ・ミーアキャット」を投映している。

触れ合いイベントがある場合は、シアターで映像化されていたミーアキャットのほか、プレーリードッグやオニオオハシ、フクロウ、パイソンとも触れ合える。もちろんスタッフによる生態の説明付きだ。

フクロウやインコが観客の上空を飛行するイベント「フライトトレーニング」には、動物保護の視点も背景に据えられている。単に鳥がどう飛ぶか見るだけでなく、「イベントに出演する鳥たちのすみかが世界中で奪われていることについても話す。子どもたちに関心を持ってもらえれば」と森館長。

■アルパカやカンガルーと触れ合う

こうした展示は各地でも実施されている。栃木県那須町の「那須どうぶつ王国」では、自然を生かして鳥の生態を学べるショーを実施している。ハクトウワシなど大型の鳥が観客席の前の森から飛んで来て、観客の頭上すれすれを飛行する様子が間近で見られるのだ。さらに珍しい猫のショーも人気で、犬や猫など様々な動物と触れ合える。

サメやエイを触りながら生態を学ぶことができる(大阪市の海遊館)

大阪市の水族館「海遊館」でも、触れ合いで生態を学べるコーナーが人気だ。「モルディブ諸島ゾーン」では実際に生きたサメに触ることができる。「サメ肌」は、小さく堅いウロコで全身が覆われている様子のことで、体を守り、泳ぐスピードを上げる効果があるといった知識を現物を見ながら学べる。

海遊館に隣接する商業施設「天保山マーケットプレイス」にも触れ合いコーナーの「天保山アニパ」がある。ここではアルパカやカンガルーなど珍しい動物とも触れ合いが楽しめる。

動画配信サイトで気軽に動物の映像が見られるようになった一方で、マンション住まいで動物が飼えない家庭も多い。夏休みに入り、実際に触れ合いながら動物の生態を学べる施設の人気はさらに高まりそうだ。

(企業報道部 桜井芳野)

[日本経済新聞夕刊2019年8月3日付]

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