大量の汗をかいたとき、水をガブ飲みするのは危険?

日経Gooday

正解は、(1)ホントです。

大量発汗時に水だけを大量に補うと「水中毒」になる危険

毎年、気温の上昇とともに熱中症で倒れる人が増えてきます。熱中症は、高温環境下に長期間いること(いたこと)によって、体の中で産生された熱がうまく放散できずに起こる体調不良の総称です。そのベースにあるのは、大量の汗をかくことなどによって、体の中の体液が減ってしまう脱水症です。

熱中症、脱水症を予防するためには、水分補給がとても大切です。と言っても、ただ水をたくさん飲めばいいというわけではありません。

人間の体液は、水と塩分(ナトリウムイオンなどの電解質)でできています。猛暑の中での活動で大量の汗をかいたときには、水分とともに塩分も失われてしまっています。そんなときに水だけを飲んでも、塩分がなければ浸透圧の関係で細胞の中まで入っていけないため、体の中に水分をためておくことができません。さらには体液が薄まって、ナトリウム不足(低ナトリウム血症)を起こしてしまう危険があります。この現象は水中毒とも呼ばれます。水中毒になると、こむらがえりや頭痛、吐き気を起こしたり、意識がもうろうとしたり、けいれんを起こしたりして、重症の場合は死亡することもあります。

「日常の水分補給であれば、水だけでも構いません。ただ、暑さのせいで食欲がなく、食事から十分な塩分がとれていないときや、大量の汗をかいて塩分を多く失ったときは、水だけではなく塩分も必ず補給してください」。熱中症や脱水症に詳しい済生会横浜市東部病院患者支援センター長兼栄養部部長の谷口英喜氏は、そう話します。

「水やお茶に加えて、塩飴、梅干しなどを一緒にとるのもよいでしょう。スポーツで汗をかいたときの脱水予防であれば、スポーツドリンクを利用するのもいいですね。ただし、(めまいや頭痛、こむら返りなどの症状が現れる)急性の脱水症などで緊急に水分補給が必要なときには、経口補水液を飲んでください」(谷口氏)

「経口補水液」を飲めば、脱水症が劇的に回復

経口補水液には、体液に近いバランスで水分と塩分(ナトリウムイオン)が含まれているため、両方を一度に補うことができます。さらに、水分が小腸で吸収される際の吸収速度を高めるため、一定の割合でブドウ糖が含まれています。これにより、水分と塩分が小腸で素早く吸収されるのです。さらに、脱水症のときにナトリウム以外にも失われるカリウムイオンやマグネシウムイオンも含まれており、これらが不足して起こるこむら返りや筋力の低下、しびれ、不整脈などの予防・改善に役立ちます。

「経口補水液は“飲む点滴”と呼ばれるほど脱水症への効果が高く、脱水症のときに経口補水液を500~1000mL飲むと、だいたいは30分くらいで劇的に元気になります」と谷口氏は話します。経口補水液は、脱水症になった体に、体液に近い成分を素早く確実に補給する理想的な飲み物なのです。

一方スポーツドリンクは、汗とともに失われた水分や塩分を補給したり、ブドウ糖、アミノ酸などの栄養を補給して疲労回復を促すための飲料です。製品によって成分や濃度が大きく異なりますが、口当たりを良くするために、経口補水液に比べるとナトリウムイオンの濃度は低め。その分、水分、塩分の吸収力や吸収速度は経口補水液に比べると低くなります。

スポーツドリンクは糖分が多めなので、運動をしない人が日常的に飲むと、糖分のとり過ぎになる可能性があります。スポーツ時や肉体労働時に、水分補給と同時に消費したエネルギーを補給する目的で飲むとよいでしょう。

(日経Gooday編集部)

[日経Gooday2019年7月29日付記事を再構成]