社員は耳にタコ カルビーを元気にした10カ条の掟カルビー元会長 松本晃氏

また、偉い人たちは自分たちだけで情報を握って、何でも自分たちだけで決めたがる。カルビーのように創業家が経営権を持つ会社というのは、特にそうなりがちです。たとえ優良会社であっても、それは同じなんです。だから、業務の簡素化、透明化が必要だと思ったわけです。

権限委譲で部下は元気に 会社は活性化

会長兼CEOになったとき、僕は権限を全部社長に譲りました。社長は、自分の権限をどんどん下に譲った。権限委譲による分権化は、とても大事です。人間は、権限を委譲されると元気になります。プレッシャーも感じますが、任されたと思うと力が出る。それで成長する。権限委譲は、人を成長させる最高のツールなんです。使わない手はない。

2番目の「人の評価はFairに」も、すごく重要です。人間の世界は、放っておくと好き嫌いで動くようになります。僕にだって好き嫌いはあります。しかし、会社では人を好き嫌いで評価してはいけない。公平公正に評価することが大事です。

まあ、公平公正と言うのは簡単ですが、実際にはやり方が分かりません。そこで僕が言ったのは「まず簡単にやれ」です。人事部がつくる複雑怪奇な評価表なんか使うなと言いました。次は「数字でやれ。何でも数字にしてしまえ」。最後が「契約書をつくって、それに基づいて評価しなさい」です。ここで約束と結果責任につながるわけです。

「数字で評価するのは、営業のような分野なら簡単だけど……」という声が聞こえてきそうです。でも、人事や総務の仕事だって数字にできないことはありません。たとえば、人事だったら、「来年は優秀な新卒を30人採ります」と契約書に書けばいい。「社員の英語能力テスト『TOEIC』の平均点を30点上げます」でもいい。何だっていいんです。数字にできないものは、世の中にはめったにありません。

7番目の「One Dollar-OUT」は、ちょっと説明が必要かもしれません。アウトはクビです。「会社のカネをたとえ100円でも私用に使ったらクビだよ」ということです。イエローカードの警告はなし。一発レッドカードで退場です。人間はだらしない生き物だから、つい会社のカネを私的に使いたくなる。お金に関する躾(しつけ)をしっかりしておかないと、会社はうまくいかなくなる。その躾がきちんとしていれば、他のこともだいたい守れるようになる。それで組織が引き締まるんです。

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松本晃
1947年京都府生まれ。京都大学大学院修了後、伊藤忠商事入社。93年にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)日本法人に転じて社長などを歴任した。2009年にカルビーの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任。停滞感のあった同社を成長企業に変え、経営手腕が注目されるようになった。11年には東証1部上場を果たし、同社を名実ともに同族経営会社から脱皮させた。18年に新興企業のRIZAPグループに転じ、1年間構造改革を進めたのも話題に。

(ライター 猪瀬聖)

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