「すべては最初のEchoを出したときの経験に基づきます。Echoのときも、後にEcho Dotという小型・低価格の製品を出しました。初めてこの種の製品を試すユーザーは、小さなジャンプからスタートしたいものです。だから、低価格も魅力的でした。今回も発想は同じです」

スマートスピーカーも、最初は音質重視で大柄な製品が中心だった。だが、16年秋に、50ドル以下で手に入る小型・低価格版である第2世代の「Echo Dot」が登場して一気にブレークした。16年初頭までは技術に興味がある人が買っていたのが、16年末には普通の人も買うデジタルガジェットになり、「多くの消費者が家電製品との連係を期待している商品」と家電メーカーが認識するまでに成長した。Echo Show 5はその再現を狙っているのである。
グーグルは7インチモデルで日本市場参入
では、ライバルはどう対抗するのか?
グーグルは19年6月から、スマートディスプレー「Google Nest Hub」を日本国内でも発売した。米国では18年秋に発売した製品だ。
グーグルは米国では、7インチディスプレー搭載の本製品と、10インチディスプレー搭載の「Google Nest Hub Max」を販売している。しかし、Maxは日本では発売されず、コンパクトで低価格なGoogle Nest Hubのみが販売される。Google Nest Hubは1万5120円と、Echo Show 5に比べると高い。これは米国での発表当時、ライバルが高価なEcho Showであったからかもしれない。当時は十分に競争力のある価格だったのだ。
アマゾンのEcho Showとの大きな違いはグーグルのサービスに特化していることだ。アマゾンのEcho Showはアマゾンのサービスに特化しており、アマゾンでの買い物やプライムビデオの再生ができる。一方、Google Nest Hubは、グーグルマップでの経路検索やYouTubeの再生ができる。現状、Echo ShowでYouTubeは再生できないし、逆にGoogle Nest Hubでプライムビデオは見られない。両者の間には雪解けムードもあり、将来は相互利用が可能になるかもしれないが、少なくとも今は、「アマゾンのサービスが中心ならEcho Show」「グーグルのサービスが中心ならNest Hub」と考えておくのがいいだろう。
また、現状のGoogle Nest Hubにはビデオカメラがなく、ビデオ通話の機能がない。遠隔地をつないでビデオ電話的に使う場合、Echo Showシリーズの方を選ぶべきだ。
レノボは「スマートクロック」として低価格製品を投入
価格面で不利、というのがグーグルサイドの弱点だが、そこに、援軍がやってきた。