マツダCX-30 ゆったりキャビンで軽快な走り

2019/8/11
今回試乗した3台はすべてFF車だが、4WD車には、エンジンのトルクやブレーキを使って安定したコーナリングを実現する「G-ベクタリングコントロール プラス」が搭載される

“一体感”が際立っている

今回の試乗の拠点は、ドイツ・フランクフルト郊外。周囲の街並みは古くて道が狭く、左右にずらりと駐車車両が並ぶ中を縫うように走らなければならなかった。そんな中でステアリングを握ったCX-30は、確かにとても走らせやすいというのが、その第一印象。前述の通り練りに練られた絶妙なサイズ、そして目線のちょうどいい高さが貢献しているのは間違いないが、それだけでなくフットワークが実に軽快、爽快なのだ。

操舵応答はとにかく素直で、しかも手のひらにはその時のクルマの状態がありありと伝わってくる。特別シャープだとかすさまじく速いとか、何か一点が際立っているわけではないが、クルマとの一体感がとても高い。高すぎて最初は「特徴がないな」などと思ってしまうかもしれないが、意のままになるその走りは、乗れば乗るほど快感になってくる。

この走りの感覚は、マツダ3と非常に近いベクトルにある。それと比べるとホイールベースが短く、全高も高い中で、そう思わせる走りを実現しているのだから見事だ。

前席のカップルディスタンスは、上級SUV「CX-5」と同等の740mm。欧米やアジアをはじめ、あらゆる国のユーザーが乗降時に負担を感じないシート高とされている

ちょっと影が薄いのがパワートレインである。欧州スペックのガソリン2リッターに「M HYBRID(Mハイブリッド)」と呼ばれる24V電装系とISGによるマイルドハイブリッドの組み合わせは、全体的にパンチがなく、6段MTとの組み合わせだと上り勾配に差し掛かるたびに2段もしくは3段のシフトダウンが必要なほど。ATならそこまで悪くはないが、こちらも全体にアクセル開度は大きくなりがちで、余裕のない走りになってしまう。

日本仕様のマツダ3の2リッターガソリンエンジンも、さほど見どころがあるわけではないが、これよりはもう少し力がある。せめてそちらを積んでほしい。

どちらかといえばディーゼル推し

それでも、フットワークに見合ったドライバビリティーを求めるなら、低回転域からトルクがスッと立ち上がる1.8リッターディーゼルのほうがいい。特にアイドリング付近でのゴロゴロとしたうなりや振動が、速度域の高いドイツの交通環境では気にならなかったこともあるが、そもそもCX-30はマツダ3と同じく、従来のマツダ車とは一線を画するほどの静粛性を実現しているから、まずまず快適に走らせることができた。のちに加わる予定のスカイアクティブXも気になるが、選ぶならこちらということになるだろう。

走りについては、「どこにでも行きたくなるフットワーク」が開発テーマに掲げられている。サスペンション形式は、前:マクファーソンストラット式、後ろ:トーションビーム式
ガソリンエンジンには、減速エネルギーの回生やモーターによる駆動アシストを行う小型のハイブリッドシステム「Mハイブリッド」が組み合わされる

今やSUV/クロスオーバーはクルマ購入時の選択肢の筆頭に挙げられるカテゴリーであり、スペシャルティー的なクルマが欲しい層にはマツダ3の「ファストバック」を選んでほしいのだとマツダの開発陣は言う。コンパクトハッチとSUV/クロスオーバーの存在感が、かつてとは逆になっているわけだ。

CX-30の機能性と使い勝手への行き届いた配慮も、そうした背景を考えれば納得である。けれどもそこはさすが今のマツダらしく、単にそれだけにはとどまらず、情感たっぷりのデザインに仕立て、爽快な走りの魅力をも備えることで、クルマと過ごす日常をちょっと気分の良いものにしてくれそうな雰囲気、うまくまとっている。市場拡大中ということは、競争が激化しているということでもあるが、CX-30はコンパクトSUV/クロスオーバー市場の中でも、きっと存在感を発揮できるに違いない。

(ライター 島下泰久)

■テスト車のデータ
マツダCX-30(スカイアクティブG 2.0搭載車 FF/6MT)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4395×1795×1540mm
ホイールベース:2655mm
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段MT
最高出力:122ps(90kW)/6000rpm
最大トルク:213Nm(21.7kgm)/4000rpm
タイヤ:(前)215/55R18 95H/(後)215/55R18 95H(ブリヂストン・トランザT005A)
燃費:5.1リッター/100km(約19.6km/リッター、WLTPモード)/6.2リッター/100km(約16.1km/リッター、欧州複合モード)
※数値は欧州仕様のもの。


マツダCX-30(スカイアクティブG 2.0搭載車 FF/6AT)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4395×1795×1540mm
ホイールベース:2655mm
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段AT
最高出力:122ps(90kW)/6000rpm
最大トルク:213Nm(21.7kgm)/4000rpm
タイヤ:(前)215/55R18 95H/(後)215/55R18 95H(ブリヂストン・トランザT005A)
燃費:5.5リッター/100km(約18.2km/リッター、WLTPモード)/6.6リッター/100km(約15.7km/リッター、欧州複合モード)
※数値は欧州仕様のもの。


マツダCX-30(スカイアクティブD 1.8搭載車 FF/6MT)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4395×1795×1540mm
ホイールベース:2655mm
駆動方式:FF
エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:116ps(85kW)/4000rpm
最大トルク:270Nm(27.5kgm)/1600-2600rpm
タイヤ:(前)215/65R16 98H/(後)215/65R16 98H(ブリヂストン・トランザT005A)
燃費:5.1リッター/100km(約19.6km/リッター、WLTPモード)/4.4リッター/100km(約22.7km/リッター、欧州複合モード)
※数値は欧州仕様のもの。

[webCG 2019年7月17日の記事を再構成]

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