梅雨疲れからの夏バテにご用心 「うつ」招くこともこちら「メンタル産業医」相談室(35)

日経Gooday

真夏の高温多湿の環境に体を適応させるだけでも大変なのに、特に近年は屋外が高温になるとともに屋内ではエアコンをガンガン稼働させるために激しい気温差が発生します。1日に何度も発生するこの気温差に体内環境を適応させなければならないために、自律神経が疲れ果ててしまい交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなり、自律神経系のバランスがどんどん崩れていくのです。

その結果、自律神経系が支配している臓器でも不調が発生し、胃腸の不調や食欲不振、睡眠障害、めまい、抑うつなど様々な症状が起こってくるのです。

近年、地球温暖化の影響を受け、日本の平均気温はどんどん上昇してきています。気象庁によると、特に1990年代以降、高温となる年が頻繁にあり、熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上の夜)や猛暑日(1日の最高気温が35℃以上の日)が増えています。

当然ながら日本の夏期(6~9月)の平均気温も上昇傾向にあり、一昔前に比べて梅雨はより蒸し暑く不快になり、真夏は酷暑の日々が9月に入っても続くため、夏バテ(夏期の自律神経失調症)になる危険性も、前倒しになるとともに長期化しているといえるでしょう。

加えてインターネット、スマホの普及によって、現代の働く人の毎日のONとOFFの区別は限りなく希薄化しており、夜になってもデジタル機器からのブルーライトを浴びながら仕事を続けたり、夜遅くまでSNSやゲームに興じたりする人が激増しています。そのため多くの現代人の自律神経系は普段から疲労気味となり、予備能力が低下しているのです。そんな中、6~7月頃から不快な高温多湿な気候が発生するため、真夏を待たずして自律神経失調状態になる人が一昔前に比べて増えているのだと思います。

自律神経系の不調が悪化するほどに、睡眠が十分にとれなくなり、胃腸の調子も乱れて体全体が重だるくなるので、当然ながら脳の疲労回復も滞り、気力低下や抑うつといったメンタル不調も発生しやすくなります。ネットや雑誌の記事などでは数年前から「梅雨うつ」「夏うつ」などの文字が頻繁に見られるようになりましたが、これらも、不快な夏の気候(梅雨も含む)がベースとなって発生する自律神経失調状態が重症化してメンタルにも及んだ結果といえるでしょう。

さて今年の梅雨も高温多湿でムシムシのひどい日々が続きました。また関東地方から東北にかけては、最高気温が25℃以下になる「梅雨寒(つゆざむ)」と呼ばれる日も例年より多く発生しました。こうした一時的に発生する梅雨時期の気まぐれな気温差も、自律神経系が疲労する原因となります。

今まで夏バテ知らずで夏を乗り越えてきた人も、気付かぬうちに自律神経系に疲れがたまっている可能性がありますので、これから迎える酷暑時期に備え、ぜひ自律神経系をこれ以上疲れさせないためのセルフケアを心がけていきましょう。

ここでは夏バテ・夏うつを予防するための基本のケア法を4つご紹介したいと思います。

ケア1「睡眠をとにかく十分にしっかりとる」

夜に6時間以上連続して眠ることが大事。写真はイメージ=(c)Aleksandr Davydov-123RF

自律神経系の中枢は脳にあります。脳の疲労回復の基本はもちろん睡眠です。最低でも6~7時間以上、心身の疲労を感じる時はさらにプラスして十分な睡眠をとりましょう。ただし細切れ睡眠はNGです。夜に6時間以上連続して眠ることで、脳や体はフルメンテナンスを完了することができますので、昼寝や通勤時間のうたた寝を入れての6時間睡眠ではなく、夜に連続して6時間以上眠ることを心がけてください。

暑くて寝苦しい夜は、エアコンのお休みモードを上手に活用して部屋の温度を適温に調整しましょう。エアコンを一晩中かけるのが苦手な人は、眠る1~2時間前ぐらいからエアコンを稼働させて部屋の壁の熱をとっておくと、エアコンを切ったあとも部屋の温度が上昇しにくくなります。また眠る場所を東や南側の窓や壁から遠ざけ、北側にすると明け方の気温上昇の影響を受けにくくなります。

また寝つきを悪くするスマホやパソコンのブルーライトは眠る1時間以上前から見ない、熟睡を阻害するアルコールは寝る直前に飲まないなど、良眠を得るための生活習慣も心がけてください。既に寝つきに1時間以上かかる、夜中や早朝に何度も目覚めて熟睡できないといった睡眠障害の症状が週に複数回出現しているという人は、心療内科や精神科、睡眠外来などで相談してください。不眠症状を放置すると、ほぼ確実にメンタルもダウンしてきます。

ケア2「動物性たんぱく質、ビタミン、ミネラルを不足させない」

夏バテが悪化する一つの原因に、あっさりしたざるそばやそうめんなどで食事を済ませがちになるため、体力や疲労回復の基本となるたんぱく質(アミノ酸)が不足することが挙げられます。肉、魚、卵には、バランスのよいたんぱく質と疲労回復物質がたっぷり含まれているので、暑い時期こそ積極的に食べましょう(沖縄料理やエスニック料理は、豚肉や鶏肉が多用されているのでお勧めです)。

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