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梅雨疲れからの夏バテにご用心 「うつ」招くことも こちら「メンタル産業医」相談室(35)

日経Gooday

2019/7/29

写真はイメージ=(c)Aleksandr Davydov-123RF
日経Gooday(グッデイ)

多くの地域で、ようやく待ち望んでいた太陽が戻ってきました。あなたの心と体はお元気ですか?こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。

さて私は現在18社の嘱託産業医をしていますが、体調不良を理由に遅刻や欠勤が増えるなど勤怠不良になる社員が、梅雨時期から盛夏にかけて徐々に増えていきます。

■「体が重だるい」「食欲がない」…… その原因は?

会社からの依頼で産業医面談をすると、

「体が重だるくて仕方がない」

「食欲が落ちて、きちんと食事が食べられない」

「胃腸の不調がこのところ続いている

(胃のもたれ、吐き気、下痢、便秘、腹痛、おなかのハリなど)」

といった症状を訴える人に頻繁に遭遇します。

そしてその中には、

「睡眠が十分にとれない

(寝つきが悪い、または夜中に何度も起きてしまう)」

「頭痛がひどくて仕事に来られない」

「体がふらふらして、めまいのような感じがする」

といった、不眠や強い身体不調にまで進んでしまっている人もいます。

さらにこうした症状に加え、

「何もする気がしない」

「頭がボーっとして仕事に身が入らない」

「毎日憂うつで人と話したくない」

などとメンタル不調の症状を呈している人も少なくありません。

こうした一連の症状は、6月から8月にかけて続く日本独特の高温多湿で不快度の高い夏のストレスによって発生する自律神経失調状態(自律神経系の乱れによって起こる症状)であることが非常に多いのです。

特に今年の梅雨は、蒸し暑いかと思えば肌寒くなるなど、気温も天候も変動が大きかったため、自律神経系に負担がかかっています。多くの人が例年より夏バテになりやすくなっていますので、要注意です。

ちなみにこの「夏バテ」と呼ばれる、猛暑の時期に食欲が低下して寝苦しくなり、体が重だるくなって気力や体力が落ちる状態も、医学的に説明すると自律神経失調状態です。まずは自律神経系の働きについて簡単に説明しましょう。

■自律神経が疲れ果ててしまうのが「夏バテ」

自律神経系は交感神経と副交感神経に分かれ、双方が絶妙なバランスで切り替わりながら常に体の内部環境を一定にするように働いています。日中には交感神経が優位となり、血圧や脈拍を上げ、胃腸の動きを減らして筋肉を緊張させ体を活動状態にします。日が暮れて夜になると副交感神経が優位となり、血圧や脈拍を下げて筋肉を弛緩(しかん)させて体をリラックス状態にしつつ、胃腸の動きを高め食物の消化吸収を促します。

また自律神経系は気温の変化に応じて、血流や発汗を調節して体温を一定に保つ働きも担っています。暑いときは体の表面に近い細い血管を大きく拡張させて血流を増やしたり発汗させたりすることで、体内の熱を体の外へ逃がして体温が上がらないように調節します。逆に、寒いときには血管を縮めて血流を減らすことで、できるだけ熱が体外へ逃げないように調節します。

このように自律神経系は、体を外界の変化に上手に適応させつつ体内環境を一定に保つために日夜不休で頑張ってくれているマルチでスーパーな神経系です。いわば体全体の統括マネジャーと言ったところでしょうか。

その自律神経系が盛夏の時期に酷使されて疲れ果ててしまうのが、夏バテです。

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