ただ、今は少子化で売り手市場であるうえ、停滞を打破する個性がより重視される時代。業界によってはドレスコードも昔ほど厳格ではない。そうした今こそ「就活スーツの概念を学生側から変えてみてはどうか」と久曽神さん。重要なポイントはただ一つ。入社後のビジネスシーンでも着用できることだ。「自分の服装に責任を持つ。このビジネススタイルの鉄則だけ守ればいいのです」と話す。
■ジャストフィットかどうかで断然違う清潔感
就活生の息子がいるMD本部紳士服ディビジョンの副ディビジョン長、吉田憲司さん(54)は1989年入社。当時も就活スーツは黒が主流で「格好で主張するのではなく中身で主張せよ」といわれていた。その吉田さんも「個性が重視される今は、なぜその格好をしてきたのかを、志望動機と関連づけて語れることも大事なのでは」。むしろ、自分のスタイルをアピールポイントにしたらどうかと指摘する。
具体的なスーツ選びに移ろう。提案するスーツは若年層に向けた「タカシマヤ スタイルオーダーサロン」のもの。価格は税別4万9000円からと抑えめでオーダー初心者を意識した品ぞろえが売り物だ。初めてのスーツにオーダーをすすめるのは「ジャストフィットかどうかで清潔感が断然違ってくるため」と久曽神さん。就活にも使え、就活後の仕事も考えたファーストスーツとして4つのパターンをコーディネートしてもらった。3番目まではベーシックなスタイル、4番目は「自由な服装」「カジュアルな服装」と指定された場合のフリースタイルだ。
■ネイビーの無地スーツ、ストライプタイ合わせアイビースタイル
着こなしてくれたのは入社2年目、3年目の社員。吉田さんが「服を理解して魅力的に着こなせる販売員でなければ、お客さまを引きつけられない。モデル体形の新入社員を見て、スキルを身につけさせて育てたい、と思った」という4人だ。百貨店内のフロアショーで活躍できるよう、モデルスクールでウオーキングやポージングの研修を受けた異色の「社員モデル」だ。

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